進む高校再編 多様な学科を持つ「県立南砺福野高校」の現状と課題は
富山テレビ放送
今後、進む再編によって、多様な学科を持つ高校が増えてくるとみられます。 過去に2度の再編を経験した高校の現状と課題を取材しました。 かつて、農学校として創立した県立南砺福野高校。 2010年には福祉科をもつ井波高校と、2020年は国際科をもつ福光高校と統合しました。 全校生徒728人、教職員およそ100人は県立高校では大きめの規模で、部活動は運動部と文化部合わせて30以上あります。 男子バレー部やライフル射撃部など最近は全国大会に出場する機会が増えています。 *ライフル射撃部の生徒 「一緒に戦える仲間がいた方が点数が伸びる。大人数いたほうがいい」 再編後に生徒と教員に聞いたアンケートでは「部活動の活性化」をメリットにあげた人が最も多く占めました。 福野高校は1学年7クラス250人で、普通科、国際科、農業環境科、福祉科の4つの学科が設置されています。 福祉科では、高齢者や障がい者の介護や医療的なケアを実践的に学び、介護福祉士の国家試験に7年連続で全員合格しています。 *福祉科3年の生徒 「射水市から通っている。中学生のときから理学療法士になりたくて、そこに一番近づくために福野高校がいい」 *福祉科3年の生徒 「看護の道に進むために福祉の学びを深めようと思って入った」 卒業後は3割の生徒が県内の高齢者施設などへ就職し7割が医療・福祉系の大学などに進学しています。 国際科は、英語でのグループディスカッションを積極的に行い、2年生は、語学研修のためオーストラリアを訪れます。 また、農業環境科では農作物の生産や加工の実習が盛んに行われています。 この日は生徒が育てたリンゴをジャムに加工していました。 *農業環境科2年の生徒 「地元のたくさんの人たちに野菜を販売して楽しかった。座学で勉強したことを実習でいかして、頭に入りやすい」 その福野高校で導入されているのが「総合選択制」です。 普通科の生徒が専門学科の授業を受けるなど学科の枠を超えて学びあうことができます。 *農業環境科2年の生徒 「学科がたくさんあるので、自分にあったものを選びやすい」 *国際科2年の生徒 「他の学科があることで、視野が広がったり、色々な意見を取り入れられるところがいい」 *南砺福野高校 野畑一雄副校長 「多様化する社会で色々なタイプの人と関わり合うことは大事なこと。色々な進路の希望者が集まっている。色々なタイプの人と関わりやすいのがメリット」 ただ、課題もあります。 *南砺福野高校 野畑一雄副校長 「普通科は進学希望が強いので、(他学科の科目を)選択できるが、あまりしていない。農業環境科が福祉科の授業をとることはある。もう少し選択できるようになればいい。機会を作っていかないといけない」 こうした課題は総合選択制を導入するほかの高校でも同じで、今後は生徒のニーズに合った運用が求められています。 総合選択制、実は生徒からのニーズは高いとみられています。 「普通科では、職業体験、インターンシップの機会が少なく、将来がイメージしにくい」 「様々な学科との関わりがあることで、新しいことややりたいことが見つかり、進学の幅が広がる」 これらは、現役の高校生が知事や教育長に出した意見です。 また、県議会の自民党議員会は普通科のなかでも外国語やプログラミングなど幅広い科目から選べる新しいタイプの「総合選択型普通科校」の設置を県に求めています。 県は2027年度以降の県立高校再編に向け、今年中には、具体的な高校をあげ、検討を始める見通しです。 それを前に、将来の富山の高校教育をどう考えるか、基本方針の議論が正念場を迎えています。
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