超ワイルドに変貌したトヨタ「クラウン クロスオーバー」は高級車なのか?「RS“ランドスケープ”」に輸入車ライターが乗ってみたら…
クラウンの価値観が大きく変容したことを物語るモデル……?
クラウン クロスオーバーの特別仕様車RS“ランドスケープ”は、最低地上高および全高を25mmリフトアップ。タイヤは専用開発のオールテレインタイプで、それをカバーするボルト止め(風)のオーバーフェンダーにマッドガードも装備。さらにリアバンパー下には、けん引荷重を750kgまで許容するトーイングヒッチまで装備されるという。 でも、ランドスケープというアウトドア志向のネーミングやワイルドな見た目とは裏腹に、その乗り心地はなかなか快適なものであった。 通常のクラウン クロスオーバーが標準指定する225/45R21に対し、225/60R18という、今どきのこのクラスでは分厚いタイヤを履いている。この専用タイヤは、トレッド側だけでなくサイドウォール側まで深いパターンが刻まれた、かなりゴツい形状ながら、舗装路でのロードノイズは上手く遮断されているほか、路面の継ぎ目で不快な突き上げが発生することなどもなく、とても洗練されたドライブフィールが満喫できる。 そのかたわら25mmもリフトアップされた足まわりは、舗装路でのハンドリングには影響を及ぼすかと思いきや、少なくとも首都高のカーブを常識の範囲内のスピードで走らせている限りは破綻の気配すら感じさせず、むしろ楽しいと思えるようなコーナーワークを披露してくれる。 実際のシャシー剛性は相当なレベルであるのは間違いないながらも、ドイツ車のようにことさら剛性感を強調するのではなく、芯は硬くてもしなやか。トヨタが描いた新世代のクラウン像が、快適さもアジリティもともに軽視しないサスペンションチューンからも感じられる。 RS“ランドスケープ”では、日本国内向けクラウン クロスオーバーとしては初めて60:40のトランクスルー機能を与えられたものの、標準版と同じくリアウインドウとトランクリッドを一体化したハッチゲートを放棄しているのは、後席の住人の快適性を最重視したからにほかなるまい。
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