ビットコインの10万ドル到達は夢ではなくなったが、短期的には危険信号も
ビットコイン(BTC)が神話上の数字である10万ドルに達するというのは、数カ月前までは高すぎる目標のように思われた。というのも、この資産は数カ月間、6万5000ドル以下の狭い範囲で推移していたからだ。しかし、アメリカの規制が急速に変化するという期待が、その夢を再び蘇らせた。 「政治と制度の星が揃い始めた今、ビットコインが10万ドルに達するという予測はもはや夢物語ではない」と、シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)のトレーダーは11月19日にテレグラムのブロードキャストで述べた。「先週の14日と15日にはETF(上場投資信託)の純流出があったにもかかわらず、ビットコインは比較的堅調で、機関投資家の採用も依然として堅調だ」 この上昇傾向により、ビットコインの有力な支援者であるマイクロストラテジー(MicroStrategy)とメタプラネット(Metaplanet)が18日に新たなBTC購入を発表し、前者は現在、この資産の総供給量の1.5%を保有している。 QCPは、今後数カ月の間に10万ドル(最高値9万3000ドルを10%近く上回る)に達すると予想しており、その利益は「アルトコインの季節」の到来を告げる兆しとして、アルトコインに流れ込むという。 「BTCのドミナンス(支配率)は現在約60%であり、アルトコインの季節の始まりを告げるにはおそらく58%以下になる必要があるだろう。我々は、トランプ政権による暗号資産(仮想通貨)推進政策とさらなる金利引き下げを予想している。今後数カ月のうちにアルトコインの季節が本格化しても驚かない」とQCPは述べた。 銀行や伝統的な金融アナリストは、11月の選挙で共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利した後、20万ドルという高い目標を掲げた。 JPモルガン(JPMorgan)によるリテールセンチメントは、今週初めに過去最高の4まで上昇し、小規模なプロの投資家からの新たな需要を示唆している。この指標は、現物ETFなどBTC関連商品の活動に基づいて、暗号資産、特にビットコインに対する一般投資家のセンチメントを測定するように設計されている。 しかし、短期的な懸念が残っているため、すべてが明るく楽観的というわけではない。 DeFiプラットフォームSOFAのインサイト責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は、テレグラムのメッセージでCoinDeskに次のように語った。「上昇局面の『容易な』部分は終わったと感じており、次の段階はより値動きが激しく、下落の可能性もあるため、はるかに難しいものになるだろう。ビットコインの優位性は依然として、S&P 500種指数におけるメガキャップの優位性を彷彿とさせる一方的な上昇傾向にあり、暗号資産エコシステムのこの段階においては、特に望ましいものではない」。 「市場のセンチメントがバブルの状態にあるため、短期的には急騰(ブローオフトップ:blow-off top)後の反動を考慮する必要がある」とファン氏は付け加えた。 ブローオフトップとは、テクニカル分析で使われるチャートパターンで、資産価格が急速かつ急激に上昇し、その後同様に急速に下落することを示す。 BTCがブローオフトップである場合、以前の最高値である約6万9000ドルが再び試される可能性があり、典型的な弱気相場のローソク足は6万ドル前半まで伸びる可能性があると、CoinDeskのシニアアナリストでマーケット担当共同編集長のオムカー・ゴッドボール(Omkar Godbole)氏は述べた。 WeFiの共同創設者であるマクシム・サハロフ(Maksym Sakharov)氏も同じ意見だ。「ビットコインの価格の上昇変動は、9万ドルの最高値を越えてから減速している。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き下げを急いでいないという事実が、投資家たちにビットコインへの投資を再評価するように迫っている」とサハロフ氏は述べた。 「FRBが金利に対して穏健なタカ派的姿勢を維持し続けるのであれば、ビットコインの魅力は減少する可能性がある」とサハロフ氏は付け加えた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin at $100K No Longer a Dream Believe Traders, but Blow-Off Top Warning in Near Term
CoinDesk Japan 編集部