高濃度PFASを検出、岡山・吉備中央町が住民の血液検査を開始…公費で実施は全国初
岡山県吉備中央町の浄水場で、人体への悪影響が懸念される化学物質「PFAS(ピーファス)」が高濃度で検出されたことを受け、同町は25日、住民の血液検査を始めた。環境省によると、公費での血液検査は全国で初めて。健康への影響に関する確定的な知見はなく、結果は岡山大などが詳しく分析する。
検査は円城浄水場から給水するエリアの住民ら約2400人のうち、希望した約800人が対象。PFASの血中濃度のほか、脂質や肝機能の状態を調べる。来年1月中に結果を通知する。検査を受けた会社員女性(47)は「体への影響が心配で検査を受けに来た。現時点で体調に変わりはないが、検査で病気などが明らかになった時には、行政に早めの対応をしてもらいたい」と話した。
同浄水場では2020年以降、町が毎年行う水質検査で、PFASの一種である「PFOA(ピーフォア)」と「PFOS(ピーフォス)」が、国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノ・グラム)を大幅に上回る1400~800ナノ・グラム検出された。しかし、昨年10月に県職員が異常な数値に気付くまで、町は対策を取っていなかった。
発生源は、同浄水場の取水場であるダムの上流にある資材置き場に、町内の企業が08年頃から保管していた使用済み活性炭の可能性が高いという。活性炭はPFASの除去にも用いられる。昨年撤去されたが、県が今年10月に行った周辺の沢の水質調査でも高濃度のPFASが検出された。町は問題発覚後に水源を変更した。