バイクもクロスオーバーSUVが人気の時代に! 名機K5の4発エンジン搭載のGSX-S1000GX|試乗試乗記
アグレッシブなスポーツライディングも忘れちゃいない!
車体のピッチングを抑えたくなれば、サスペンションを「H(ハード)」にし、長足のストローク感を味わうなら「S(ソフト)」にダンピングを設定。パワーモードは最強の「1」のままにしたりするなど、電子制御の組み合わせを変更させれば、楽しくていつまでも走りたくなってしまう。 接地感のある軽快なハンドリングもまたGSX-S1000シリーズらしく、スポーツ性能が高いこともまた魅力のひとつになっている。車体重量は増えたものの、より高い位置から豪快に操ることでダイナミックな手応えとなった。前後17インチのロードスポーツをアップハンドルで操ることで、神経質なところがなくなって穏やかさが出てくる。 そして低中速で扱いやすいエンジンは、ライダーの操作に忠実に応えるスロットルフィーリングだが、高回転で高揚感のあるパワーの伸び上がりを見せ、最高出力150PSのハイスペックが実力を発揮する。 また、「スズキクラッチアシストシステム(SCAS)」によって、クラッチレバー操作が軽いことも報告しておきたい。 電子制御満載によるコンフォートな走りが際立つグランドクロスオーバーだが、アグレッシブなスポーツライディングを主軸に置いているあたりは、さすがはスズキのスポーツモデルだ!
GSX-S1000GX 詳細解説
立体感のあるレイヤーデザインとシャープなラインのエクステリア。モノフォーカスのLED六角形ヘッドライトを縦2灯に配置し、面発光のLEDポジションランプをフロントカウルに沿って両サイドにレイアウトした。シャープで引き締まったフロントマスクを演出している。 860mmと幅の広い専用ハンドルバーはフローティングマウントされ、ライダーの手に伝わる振動をシャットアウト。ウインドスクリーンは3段階に高さ調節可能で、ナックルガードを標準装備する。 フロントカウルやウインドスクリーンはもちろん、ナックルカバーを含めて徹底したエアロダイナミクスを追求。高い防風効果を獲得した。風の巻き込みなどによるストレスからライダーを開放し、快適性を向上。ライディングに集中ができる。シミュレーション解析(圧力分布)イラストは、左がウインドスクリーン最下段、右が最上段だ。 6.5インチカラーTFT液晶マルチインフォメーションディスプレイには、傷がつきにくく被視認性を向上させる反射防止コーティングが施された。メーター画面の左横には、スマートフォンなどを充電する際に便利なUSBソケットを装備した。 マルチインフォメーションディスプレイは、専用アプリ「 SUZUKI mySPIN」をインストールしたスマートフォンを無線LANとBluetoothで接続し、音楽や電話などスマートフォンの情報をミラーリングできる。 「スズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S)」をはじめ、スマートフォンの専用アプリ「 SUZUKI mySPIN」を映し出したメーター画面も操作できるハンドコントロールスイッチ。クルーズコントロールは2速以上、速度30km/hから設定可能。ハンドル左の+/-スイッチで、セット後もスピード調整できる。 軽量な6スポークを持つアルミ製キャストホイールに、ダンロップ「SPORTMAX ROADSPORT 2」をセット。ブレンボ製のラジアルマウントモノブロックキャリパーに310mmフローティングディスクローターを組み合わせたフロントブレーキはタッチとコントロール性、制動力いずれも申し分ない。 150PSを発揮するエンジンは18万基以上が生産され、名機と名高い2005年型GSX-R1000をルーツにする998ccの水冷直4。滑らかなトルクカーブと幅広いパワーバンドを持つ。 クラッチレバーやスロットル操作をせずに、シフトアップ&ダウンが可能な双方向クイックシフトシステムを装備。シフトダウン時、自動的にスロットルバルブを開けることでエンジン回転数を僅かに上げ、ギヤドッグ負荷を瞬間的に抜く。スピーディでスムーズなシフトダウンを実現しているが、不要なシーンではOFFにすることもできる。 スポーティなデザインのシートは、グリップ性の高い表皮が使われていることが乗ってわかった。後部座席は形状や厚さ、サイズを徹底追求し、優しい乗り心地を提供している。キーロックを解除し、ピリオンシートを外せばETC2.0車載器が姿をあらわす。また、ワイヤーを使用し、駐停車時にヘルメットを掛けることができる。 マスの集中にも貢献するショートサイレンサーを採用した4-2-1エキゾーストシステム。コンパクトな設計によって、五感を刺激するアグレッシブな排気音を奏でつつ、シャープでスッキリとした見た目としている。 リヤブレーキはピンスライドタイプのシングルピストンキャリパーを採用。操作性に優れ、効きも十分以上だ。 ゴールドの筒型ケースに収納されるのは、リヤショックのプリロード調整用モーター。AUTOなら自動切り替え、マニュアルモードの場合、「ソロ」「ソロ+荷物」「タンデム」に設定できる。 クリアレンズとLEDを採用したリヤコンビネーションランプとターンシグナル。コンパクトなテールセクションでスタイリッシュだ。最大耐荷重6kgのグラブバー付きアルミ製リヤキャリアを標準装備。握りやすい形状としたクラブバーを備え、ピリオンライダーをサポートする。