しんどい生理、セックスの痛み…人気イラストレーターに届く悩み 「伝えなきゃいけない人にはオープンに」
作品の進化過程、届き始めた「悩み」
――ファンからの悩みというのは、昔から届いていたのでしょうか? 初期に描いていたカップルイラストは、読者にドキドキしてほしいという思いが強い、女性向けAVのライト版のような作品でした。 でも、作品として進化していかないといけないなというタイミングで、テーマを設定し、官能的なシーンのあとに、空しさを描き、登場人物が自分と向き合い、光を残す――そんな作品作りをするようになりました。 「セフレのことが好きなのに付き合えない」というストーリーにしたとき、その人の視点を描きながら「どうしたいんだろう」「幸せってなんだろう」というモノローグを入れたり、「高齢処女」をテーマにしたときに「『普通こうだ」なんてないよね」という言葉を入れたりしました。 それらを通じて、見る人に、より刺さったり意味のあるものをつくったりしたいと考えるようになりました。 その結果、反響がDMで届き、悩みも送られてくるようになりました。
「それ以上は自分で考えるしかない」
――悩みにはどう向き合っているのですか。 基本的には、「これは正解ではなく、あくまで個人的な意見です」というスタンスです。 その人の人生や価値観、状況や感じ方、すべてが違います。答えは自分の中にしかないということは、毎回伝えるようにしています。 例えば以前、「付き合っている彼はいてキスもするけど、どうしても嫌悪感が出てしまう」という相談が届きました。 アセクシャル(他者に性的感情を抱かないセクシャリティ)の可能性もあるなと思いましたが、私が直接知っているわけでもない人に断言するわけにはいきません。 そのときは、可能性の一つとしてアセクシャルを提示した上で、「自分と向き合う時間を作ったらいいんじゃないかな」と伝えました。 選択肢を示すことはしますが、「それ以上は自分で考えるしかない」という姿勢は大切にしています。
性の悩み、話すことで受診きっかけの可能性も
――寄せられる悩みの中で多いものはありますか? 性の悩みと恋愛の悩みで、だいたい4:6です。 デリケートな部分をさらけ出さないとちゃんと伝えられない性の悩みは、ちょっと恥ずかしくて言いづらいのでしょう。身近で信頼できる人にこそ、言いにくいようにも思います。 それでも、私に悩みを打ち明けてくれる一番大きな要因は匿名性だと思います。私も匿名だし、相談の際にも自分の名前を明かさなくていいので、相談しやすい。 一方で、悩みをオープンにできればいいのになという気持ちもあります。それは、不特定多数に対してではなく、「ちゃんと伝えなきゃいけない人にはオープンでいてほしい」という思いです。 セックスレスについてパートナーに相談できないという悩みもありますが、そこはもっと言えるような関係性であってほしいと思います。 性の話の中には身体の悩みも含まれます。 例えば生理のつらさなどの婦人科系の悩みは受診が必要な場合もあり、カップル・夫婦間でも共有できていた方がいいと思います。そうすることで、身体的なつらさを共有でき、パートナー側から受診のきっかけを与えてくれるかもしれません。