現代の大和絵。世界的アーティストの大規模個展は見逃せない!
注目の展覧会を厳選してお届けする本企画。今回は『松山智一展:雪月花のとき』の見どころを紹介する 【写真】松山智一展の展示風景
『松山智一展:雪月花のとき』
松山智一はNY・ブルックリンを拠点とする現代美術家。古今東西のさまざなモチーフ、ときにファッション誌にうつる人物像や消費社会の産物なども混ぜ込んだ、いわば現代の大和絵のような作品を手がけてきた作家だ。 現代人は多様で長い文化的蓄積の上に生きている。多様なイメージをサンプリングし多層的に再構築してできあがる松山の絵画は、そうした現代を生きる人のアイデンティティをどう定義できるかといった関心も反映されている、と以前本人は話していた。 また展示されている新作の多くが、人物がいるさまざまな室内風景を描いたものであることも興味深い。 その室内画をよく見るとそれぞれ画面のどこかに空から降り落ちる雪がモチーフに描かれているのがわかる。(コロナ禍において、多くの人が自室に籠りながらリモートで世界と繋がって過ごしたように)雪という自然の産物であり、溶けて消えゆく可変的なものが、絵の中の遠く離れた人たちの日常を繋いでいるわけだ。 会場は雪国・青森。展覧会場の外では、本物の雪が舞い降りている(かもしれない)こともどこかドラマティックな気分にさせる。 『松山智一展:雪月花のとき』 @弘前れんが倉庫美術館 3月17日(日)まで BY MASANOBU MATSUMOTO, EDITED BY T JAPAN