石川遼「負けたけど、収穫ある4日間」〝復活記念日〟いざ全米OPへ 2年ぶり優勝は逃すも「自分のプラン通りに運べたのが大きい」
国内男子ゴルフ「BMW日本ゴルフツアー選手権森ビル杯」最終日(9日、栃木・宍戸ヒルズCC=7430ヤード、パー71) 【写真】渋野日向子と石川遼のツーショット。シンデレラと王子が初競演 石川遼(32)は岩田寛(43)と争った18番(パー4)でのプレーオフ1ホール目で、グリーン右手前ラフからの3打目、ピンまで35ヤードのアプローチを「距離感をうまく出せなかった」とミスしてボギー。2年ぶりの優勝は逃したが、悔しさはなかった。むしろ晴々とした表情。「ええ、素晴らしいラウンドだった」と目を輝かせた。 1番をボギーとしたが、2番から3連続バーディー。6番(パー5)はピンまで30ヤードの3打目をチップインイーグル。圧巻は18番(パー4)のスーパーショットである。フェアウエー左のバンカーからの2打目。ピンまで159ヤード、いま石川が求める「美しいドロー」の高い弾道で、あわや〝ショットイン・イーグル〟のバーディーで締めた。1イーグル、8バーディー、2ボギーの63。通算13アンダーでこの時点でトップに立った。首位に5打差、16位タイから一気に駆け上がったのである。 「負けたけど、収穫ある4日間だった。ただいいスコアが出たというのではなく、自分の〝ゲームプラン〟でやって、それができた。〝一か八か〟でこのスコアだと(次につながる)再現性は少ない。自分のプラン通りに運べたのが大きい」 2019年に年間2勝を挙げた直後、20年3月から〝より高み〟を目指してと自身のゴルフ人生初の外部コーチ、田中剛氏に師事した。従来のオーバー気味だったスイングのトップをコンパクトに、球筋もフェードからドローへ大改造。結果が出せず、外野からは「やめたほうが…」という声もあったが、自ら決断した道を進み続けることを止めなかった。 大会直前にはドライバーのシャフトも変えた。「感覚的にしっくりきている」と技術アップに加え、新しい相棒も味方になった。今週は13日開幕の「全米オープン」(米ノースカロナイナ州)に出場する。「今やっているゴルフの技術の積み重ねの結果、やっていることが正しいと証明できたと思う。(米では)自分の成長を測れるようなゴルフをやりたい」。32歳の〝復活記念日〟、新たな遼の姿が見えた。 (清水満)