親から「大掃除で180万円入った通帳を見つけた」と連絡が! 私名義で貯めていたそうですが、受け取っても「贈与税」はかかりませんよね?
親が子どもに知らせないまま子ども名義の銀行口座を作り、知らない間に大きな金額が貯まっているケースは少なくないようです。しかし、その銀行口座の通帳をそのまま子どもに渡してしまうと、贈与税の対象となることがあるため注意しなければいけません。 本記事では、180万円が入った子ども名義の通帳が見つかったケースを例として、子どもが知らない間に親が貯めた子ども名義の貯金は誰のものなのかを考えながら、贈与税について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
見つかった通帳の180万円は誰のお金?
今回のように、銀行口座の名義が子どもであっても、子どもが知らないお金であった場合は、いわゆる「名義預金」として扱われると考えられます。名義預金とは、実際の所有者と名義が異なる預金を指す言葉です。 このケースでは親が子ども名義の口座にお金を振り込んではいますが、その時点では子どもは受け取ったことを認識していません。 民法では「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」としています。つまり、贈与には少なくとも「(1)贈与者のあげたという意思」「(2)受贈者のもらったという意思」が必要です。 また、一般的には「(3)もらった人がもらった財産を自分自身で管理・支配している」ことも必要とされており、今回は(2)と(3)が不足しています。 したがって贈与が成立していないので、通帳の名義は子どもであっても、お金の所有者は親のままという状況となっているわけです。
通帳をもらった瞬間に180万円の贈与に? 贈与税はいくら?
今回のケースでは、子どもが通帳を受け取るタイミングで180万円の贈与が成立すると考えられます。贈与税には110万円の基礎控除がありますが、今回は180万円の贈与となるため贈与税の支払いが必要です。受け取った180万円のうち110万円を超えた70万円に贈与税がかかります。 200万円以下の贈与の場合、税率は10%で、今回は7万円の贈与税が発生することになります。贈与された年の翌年の3月15日までに確定申告し、贈与税を支払わなければなりません。 正しく納税をせず、後から税務署に指摘された場合、延滞税や加算税がかかる可能性があることに注意が必要です。なお、一度に180万円を口座に振り込んだ訳ではなく、例えば毎年12万円ずつ15年間にわたって振り込んでいた場合でも、結果は変わりません。 一見、毎年の金額が基礎控除の110万円以内なので、贈与税がかからないようにも見えますが、振り込んだタイミングでは先ほどの意思表示の条件を満たしておらず贈与が成立していないからです。 もし、贈与税がかからないように贈与をしたかったのであれば、「口座に貯金をしている段階で子どもに贈与の事実を知らせること」と「子どもが自由にそのお金を使える状態にしておくこと」が必要です。