初V・BL東京リーチ・マイケル主将、”宅飲み”で深めた絆…若手に手料理ふるまう「リーチさんの作ったご飯はおいしい」
◆ラグビー リーグワン・プレーオフ決勝 BL東京24―20埼玉(26日・国立競技場) BL東京(旧東芝)が、埼玉(旧パナソニック)に24―20で勝ち、発足から3季目のリーグで初優勝した。レギュラーシーズン(RS)2位から、今季無敗の埼玉を破る“下克上”で、5度制した前身のトップリーグ(TL)を含め2009―10年季以来、14季ぶりの頂点。埼玉は元日本代表・堀江翔太(38)の現役ラストマッチを2季ぶりの王座奪回で飾れなかった。BL東京のリーチ・マイケル主将(35)と堀江の盟友対決は、TLを通じて最多5万6486人が熱狂した。 ノーサイドの笛が鳴り響き、5万6486人の大歓声が国立を包んだ。BL東京が今季無敗の埼玉を破り、初めて頂点に立った。80分、チームを鼓舞し続けたリーチ主将は「人生初の全国優勝。夢のよう」と感慨にふけった。表彰式後の胴上げも初体験で「もっと上げて」と威勢は良かったが、地面に落ちないように体をピンと伸ばして、3度舞った。 RS無敗の強敵に全員で立ち向かった。前半3分、埼玉のSH小山にインゴールに飛び込まれたが、リーチが体を張ってトライを阻止。苦しい時間を耐え、流れを引き寄せた。POMに選出されたJ・ナイカブラが計2トライで主導権を握り、3点ビハインドの後半34分にはBK森のトライで逆転した。終了間際に逆転トライを許したが、TMO(ビデオ判定)で堀江の反則があったため、取り消され、4点差で振り切った。 昨季は5位に終わり、トッド・ブラックアダー・ヘッドコーチは「勝つために」とリーチを主将に指名した。15、19年W杯で主将を務めたリーチも、チームでは10年ぶりの要請に驚いたが、指揮官の思いを受け止めた。練習後に若手を家に招き、酒を交えて意思疎通を図った。「リーチさんの作ったご飯はおいしい」とフッカー原田。緊迫する決勝も「ナイス」「よくやった」と前向きな言葉をかけ続け、シーソーゲームを制した。 代表で共闘し、引退する堀江との最後の試合でもある。「さみしさ半分、勝った喜び半分」とリーチに笑顔はなく、手にした優勝にも「運が良かった」と安堵(あんど)する気持ちが強い。大仕事を果たし「きょうは府中に帰ってビールを飲みたい」とリーチ。日本一の味をかみ締めた。(宮下 京香) ◆東芝ブレイブルーパス東京 1948年創部。愛称の「ルーパス」はラテン語で「狼座」の意味。トップリーグ時代は、2004年度から3連覇を含む優勝5度。本拠は東京・府中市でホームは味の素スタジアム。チームカラーは赤で「猛勇狼士」を掲げて接点での強さが武器。マスコットは「ルーパス君」。主将は日本代表のリーチ・マイケルで、トッド・ブラックアダー・ヘッドコーチは19年夏より現職。
報知新聞社