新しいエルグランド・グラシアがイイ!!! 日産の高級ミニバンは学生の力で変えられる!?
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)では、学生たちが手がけたカスタマイズカーがいくつも展示された。なかでも、日産グループである学校法人日産学園 日産・自動車大学校の学生が制作したクルマに注目! 【写真を見る】完成度の高いエルグランド・グラシアの細部を徹底チェック(42枚) ベース車両との違いはココだ!!!
エクストレイルとアリアの融合
オートサロンは、メーカーのコンセプトモデル、モータースポーツ参戦車、町場のカスタムショップ、と、見どころはいろいろだ。さらにもうひとつ、各種自動車学校の参加も見逃せない。 自動車学校とは、整備士やデザイナーの養成学校。私立もあれば、自動車メーカーが直接かかわっているところも。たとえば日産・自動車大学校だ。 メーカー校を謳う日産・自動車大学校は、今回とりあげる京都校をはじめ、栃木、横浜、愛知、愛媛の計5校。クルマを仕事にしたいと考える卒業生は、日産自動車関連企業をはじめ就職率100%なのだそう。 なかでも日産京都自動車大学校のブースに置かれたのは、「ELGRAND GLASSIER(グラシア)」。ベース車両にエルグランドE52型(2010年登場の3代目)を使い、ボディパネルの一部などを学生たちが製作した。 車体色には“朝焼け”がイメージの色を選んだとのことで、“ガラスっぽい”という英語の形容詞の比較級であるグラシアという車名が連想させる透明感を意識したようだ。 「コンセプトは家族で使えるクルマです。同時に並べた『SETO』というモデルと2台、家の車庫に並べられるイメージで、グラシアはお父さんのクルマという設定です」 製作メンバーのひとり、日産京都自動車大学校の学生である古川日向さんは、上手に説明してくれた。 ターゲットカスタマーは6人家族。3世代で出かけることも想定したそう。いっぽう、「いつもはスーツ姿で出勤する父親だけれど、家族でキャンプに行きたくなったときに乗れる、ということも考えました」と、古川さん。 たしかにフロントまわりはエクストレイルが有するSUV的なデザインだし、オレンジの差し色を使ったパーツとの組み合わせが、躍動的な雰囲気を出している。タイヤはオールテレインタイプで、大型ルーフキャリアもアウトドア感を強く感じさせてくれる。 「製作メンバーがとくに力を入れたのは、とくにリヤまわりの部分です」と、古川さん。雰囲気を出すため、日産のクロスオーバーEV「アリア」の一文字型LEDリヤコンビネーションランプユニットを使用し、かつパネルを自作。とくにハッチゲートの開閉に干渉しないようなデザインは「会心の出来です」とのことだ。たしかに実車を見るとよく出来ていた。 会場には、先述のとおり、いくつもの自動車学校がブースを並べており、将来自動車界への就職を希望する学生たちにとって、ほかの世界を知るたいへんいい機会になっていると見受けられる。 なかにはアメリカ・ロサンゼルスにあるようなカスタムショップに就職する人だって出てくるかもしれない。創造力が自動車を楽しくしてくれる……そう確信させてくれる展示だ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)