「ラーメンは苦手」尊富士の身体を作った、“たらの子あえ”に“鮫のすぐめ”おばあちゃんのチカラ飯
おかみさん、行きつけの店、祖母の洋子さんに話を聞いた
伊勢ヶ濱部屋を訪ねると、力士や親方は大阪から戻っていなかったが、おかみさんが忙しそうに出てきた。尊富士の活躍の裏に、おかみさんの尽力があるとの話を伝えると、 「とんでもないです」 と言って立ち去ろうとしたところに、「弟子たちにバースデープレゼントを渡すそうですね」と声をかけると、 「えっ、なんで、そんなこと知ってるの?」 と言いながら笑顔で部屋に戻っていった。 行きつけの焼き鳥店『ひげの平山』の平山大二郎さんは、尊富士が陰で努力していることを知っている。 「初めて会ったときから、ほかの相撲取りとは身体が違うと思いましたね。プロレスラーみたいでしたよ。 彼は稽古が終わるとウエイトトレーニングのジムに通っているんです。上半身はとにかく筋肉が厚い。まるで冷蔵庫。よく研究もしていて、食事しながらスマホで自分の取組の動画を見ています」 2年前に部屋に入ってから、毎月来ているという。 「優勝が近づくと緊張しない?と聞いたら“自分はしないんです。まったく緊張したことがない”って(笑)。酒は飲まずに、ひたすらコーラ。験担ぎで、大きなおにぎりを食べていくんですよ。焼き鳥やほかの料理を食べた後に、締めのおにぎりなんです」(平山さん、以下同) 尊富士はラッパーのAK-69のファンだというが……。 「いつもイヤホンして来ますね。社交的で、ほかのお客さんと話したり、一緒に写真を撮ったり。常連の女性客から“彼女いるの?”と聞かれて“いないよー”って答えていました(笑)」 地元の五所川原に帰郷する前日、店でこう話したという。 「とにかくおばあちゃんのごはんが大好きで、実家に帰ったら外に出ないって。すごくおばあちゃん子みたい。かわいい一面もありますよ(笑)」 どんな料理が好きなのか。祖母の工藤洋子さんに電話で聞いてみた。 「名物の馬肉のみそ煮が好きです。本来は高菜とか野菜も入れますが、肉の味がハッキリしたものが好きなので、入れるのはナスぐらい。ピリッとした味ですね」 ラーメンはもちろん、カレーやパスタも食卓に出ない。 「帰ってきたときはナマコとか、東京では食べられないものですね。やっぱり鮮度が違うからか味が全然違うって。この辺りではどこでも作っているようなものだけれどね。ニンジンや高野豆腐を入れた“たらの子あえ”もよく作ります。鮫の頭を酢の物にした“鮫のすぐめ”も好きですよ」(洋子さん) 尊富士のパワーの源は、おばあちゃんの手料理だった。地元に帰ってゆっくりケガを治したら、来場所もきっと活躍してくれるはず!