令和初戦を制した宮本勝昌 難度高めの舞台を制すカギを明かす
<中日クラウンズ 事前情報◇1日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース (愛知県)◇6557ヤード・パー70> 寡黙な岩田寛は大会2勝【写真】 愛知県の名古屋ゴルフ倶楽部 和合コースで歴史ある大会「中日クラウンズ」が幕を開ける。今年で第64回目の開催。2019年大会で2年ぶりのツアー優勝、12勝目を飾った51歳の宮本勝昌が今年も出場する。 総距離が6557ヤードと短めだが、簡単にスコアが出せないのが和合。砲台のグリーンは速く硬く、グリーン周りにはアゴの高いバンカーなどが囲んでいる。きょうは雨がパラつくなか、プロアマが行われた。「雨が降っている割にはグリーン締まってるし、スピードも出ているので、例年通り非常に仕上がっているなっていう印象はあります」と難度は相変わらず高いようだ。 宮本はこの優しくない和合戦を制することができるとは思っていなかった。 「ここは歴代チャンピオンの名前とか顔ぶれを見ていても、実力者やショットメーカーみたいな人たちが多いんですよね。僕はご縁ないだろうなと。あまり得意なイメージがなかったし、苦手なイメージしかなかったんですよね。トップ10とかもいままで1回ぐらいしか入ったことない」 優勝を挙げるまでは、納得のいく結果が出せていないこともあってイメージは悪かった。だが、「2019年から自分が年齢を重ねてきたせいもあって、1番ホールとか16番ホールをドライバーで狙わなくなったんですよね。そしたら優勝したんですよ」と、当時47歳だった宮本はリスクを負うことから避け、慎重に攻めることに方向転換した。 「その刻んだことが優勝につながったのかどうかはわからないですけども…」。そう話すも、19年には2日目に16番パー4でバーディを奪い、インコースで7アンダーの「28」を叩き出している。和合はドッグレッグが多く、ショートカットを狙う場合は平均的に300ヤード越えのティショットが必要となることが多い。“チャンスをつくりたい”という欲を抑え2打目を狙いやすい位置に刻んでいくことがスコアメイクのカギとなる。 「ドライバーでパー4を打つのって、やっぱりバーディが欲しいんですよね。そう思ってなくても、みんなバーディが欲しいから打つでしょ。そして、結果的にドライバーでのパーと、刻んでのパーは、気持ちのゆとりとかフラットな具合が微妙に違うのかなと」 この一打でその先の精神状態への影響は大きい。ゴルフはどんな状況でも平常心で戦いたい。「どれだけ同じような精神状態でいられるか、フラットな気持ちの時間帯が長いとか。その精神的な部分が4日間のスコアメイクに繋がったかなと思っています」と勝因を明かした。 和合は強気な狙いをすればするほどドツボにハマる。「ピンを狙っていくと、転がって落ちて外れてすぐ難しい位置に行ったりもする。リズムとかがうまくいかないとオーバーパーにもなるという難しさ。センターを狙うとか、そういうことが昔から言われていることはあるんですけどね」。悪い流れは簡単に訪れてしまうコースだ。 だが、賞金のかかった舞台。選手は少しのチャンスも逃したくない。むしろ、チャンスを作りたい精神状態になる。「(リスクがあると)わかってはいてもやっぱり狙うんですよ。もちろんみんな自信があるから狙うんだけど、それでうまくいくときはいいスコア出るんですけどね。いまの若手かは簡単に64とか65は出るので(笑)」。 “東洋のマスターズ”とも言われるこの舞台を制すには、どれだけ自分の欲を抑えることができるのかがカギとなりそうだ。 「優勝しても苦手。自信はないですよ。難しいので」。毎年この和合戦に出るときは、「極力、自分の気持ちとか考え方がフラットになれるようには心がけています」と痺れる舞台でベテランの宮本でも気が抜けない。「気持ちだけはうまくコントロールしながら、気持ちがコントロールできればボールもコントロールできるんじゃないか(笑)。そういう気持ちでいきたいと思います」とメンタルコントロールがショットにつながることを信じて挑んでいく。(文・高木彩音)