市街地に残る、システム廃止の駐車場案内板 観光客から改善求める声も 長野県松本市
長野県松本市の中心市街地に設置されている駐車場案内システムの案内板が平成24(2012)年のシステム廃止以降、更新されないまま残されている。現在は駐車場の混雑状況の表示はなく、駐車場名と方向を示す矢印で駐車場や公共施設の位置を案内しているが、現存しない駐車場名を掲げる案内板もある。市は現状のまま「活用」する方針だが、市内を訪れる観光客からは改善を求める声も聞かれる。 市によると、昭和60(1985)~平成14(2002)年度の中央西土地区画整理事業の時期に設置の議論が浮上した。駐車場の混雑状況を表示し、駅前で発生する渋滞の緩和や、利便性向上を目指した。13年に基本設計を開始。15年に市議会で設計案が了承され、国・県との共同事業として、約4億6500万円をかけて地図式、文字式、補助の各案内板を計48基設置、16年4月に供用開始した。 だが、カーナビゲーションの普及などもあり、設置7年後の22年に行った利用者アンケートでは、駐車場探しにシステムを参考にした人は県外の利用者で17%、県内だと6%にとどまった。24年3月にはシステムの稼働に必要な通信サービスが終了。継続には5000万円の更新費がかかり、年間600万円の維持管理費も負担が大きいとして、同月までで廃止となった。 結果的に設置からわずか8年で廃止となったが、文字式案内板は混雑表示機能をなくして現在まで活用し、補助案内板も多くが当時のまま残されている。そのため、現存しない駐車場名を表示する案内板が至る所に存在する。市内を訪れた観光客からは「案内通りに進んで駐車場がなかったら困る」(神奈川県座間市・40代)「存在しない駐車場が掲示されているなら撤去した方がいい」(東京都豊島区・60代)といった声が聞かれる。 案内板を管理する市自転車推進課は、撤去には技術的、費用的な課題があるとして「生かすところは生かし、表示に誤りがあれば予算要求をして早めに修正したい」としている。
市民タイムス