大学入試 理工系に「女子枠」急増 多様化促進?不公平? 東大・横山広美教授「日本の女子の数学力を信じて」
「女子枠」の設置に賛成の生徒は約65%、反対は35%。割合は賛成のほうが多いものの、その理由を回答した人の数は反対派(284人)が賛成派(138人)の倍以上。問題意識の高さが感じられる。反対理由の7割は「不公平や差別になる」というものだった。 『なぜ理系に女性が少ないのか」(幻冬舎新書)の著書があり、科学技術社会論などが専門の東京大学・カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美教授は「日本の女子の数学の能力を信じるべき」と提言する。
「推薦枠などでは通常試験よりも数学や理科の負担が軽くなり、あたかも大学が女子生徒の能力を信じていないような、『ちょっと点数下げるから入ってきて』と言っているように見えるのが、非常に問題だと思う。日本の女子の数学能力は世界的に見ると非常に高いので、大人たちはそれを信じて『数学は皆、頑張ってやればできるよ』と言うことが大事だ」(東京大学・横山教授) 実際に、「女子枠」の面接試験などでは高い目的意識が求められ、受験を検討する女子生徒にも強い意欲がみられるという。
「先輩たちが活躍している姿がまだそれほど多くない。ただ、これまで全然女子が進出していなかったから、むしろ『自分がパイオニア的存在になりたい』とか。建築系や土木系であれば自分の考えを反映した家を建てたい、ビルを建てたいまちづくりをしたいなど、女性ならではの視点を持ったというのは『私ならできるはずだ』という非常にバイタリティに溢れた女子が、比較的理系を志望しているように感じる」(河合塾・近藤氏) 「女子枠」を前向きに捉え挑戦しようとする女子生徒のために、横山教授は入学後のフォローの大切さを指摘している。 「ただ女子に『入ってきなさい、いいですよ』と言って、大学側がその後の努力をしないようではそれは難しく、居やすい・学びやすい環境を整えることがとても大事だ。数学や物理などの理系科目を、もし少し軽めで入ってくるようであれば、そこに対する補習などもすでに対応しているところもあるようだが、そうした勉強面でのサポートも場合によっては必要になってくるかもしれない」(東京大学・横山教授、以下同)
理系で学んできた先輩である横山教授が、高校生らに伝えたいこととは… 「私は中学生のときに宇宙がどのように始まったのか、とても興味を持って理系、特に物理学を最初に志した。そのまま科学者になりたいと思ったわけではなく、科学を伝えたり科学と社会の間のことを考える仕事をしたいと思った。そして物理学で博士号を取ったが、今は人文社会科学の研究者、要するに文系の研究者として仕事している。理系から色々な分野に進出することは非常に道が開けているので、これから進路を考えるときに、ぜひ理系を1つの選択肢として考えてほしい」 (『ABEMAヒルズ』より)