三菱UFJ証券・荒木会長 母校の大村高で講演 「失敗しても大きな夢を」 長崎
長崎県大村市久原1丁目の県立大村高(満行洋介校長、897人)は今年、創立140周年を迎えた。記念式典が2日、同校であり、卒業生で三菱UFJ証券ホールディングス(東京)代表取締役会長の荒木三郎氏(67)が講演した。 同校の前身は江戸初期の1670(寛文10)年、九州最初の藩校として誕生した集義館(後の五教館)。武士だけでなく一般市民にも門戸を開いた先進的な教育で知られ、数多くの志士を輩出した。その系譜を受け継ぎ1884(明治17)年、私立大村中が創立。改称を重ねながら140年の歴史をつむいできた。 荒木氏は幼少期を大村市で過ごし、同校から東大に進学。三菱銀行に入り、副頭取などを歴任した。2018年に三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社長に就任し、22年から現職。 「挫折や失敗から学ぶ」と題して講演。高校時代、練習に耐えかねて部活動を辞め自己嫌悪に陥ったことや、若手社員の頃に融資が焦げついたことなど失敗談を披露した。 現金輸送車が襲われた1986年の「有楽町3億円事件」に巻き込まれたエピソードや、2011年の東日本大震災発生時の判断など、時代のうねりの中で迫られた対応を語った。「利益ではなく信頼」を重視する経営哲学を明かし、在校生には「失敗してもめげずに大きな夢を持とう。自分の信念を貫こう。人との出会いや縁を大切にしよう」と呼びかけた。 式典では同窓会の松村学会長が「大村高は堂々たる大木。歴史におごらず新たな年輪を重ね、常に新しい緑が茂ることを祈念する」とあいさつ。在校生や教職員、卒業生らが万歳三唱で母校の節目を祝った。