架空請求、オレオレ詐欺…「特殊詐欺」過去最多 その実態、詐欺に遭わないために私たちができることは? 専門家が解説
◆特殊詐欺を減らすための取り組みは?
ユージ:特殊詐欺の件数を減らすためには、どのような対策が必要だと思いますか? 塚越:架空請求型の詐欺の場合、金銭はコンビニで販売されている電子マネー(プリペイドカード)を購入させることが多いです。特にAppleのギフトカードの悪用が急増しており、警察庁もAppleやコンビニに被害防止の協力を呼びかけています。 次に特殊詐欺では、全体の8割近くが「電話」によるものです。そのうち9割は固定電話を利用しています。そこでNTT東日本と西日本は、そもそも特殊詐欺の電話が来ないようにする対応をとっています。この2社は去年5月から、かけてきた相手の電話番号を表示する「ナンバー・ディスプレイ」と、非通知の電話には相手にかけ直すように伝える「ナンバー・リクエスト」という有料のオプションを、70歳以上の高齢者は無料で利用できるようにしました。 (特殊詐欺の被害に遭わないためには)そもそも最初から電話を受けないことが重要なので、「ナンバー・ディスプレイ」「ナンバー・リクエスト」の2つを覚えておいてください。特に無料対象者の方はぜひ利用していただきたいです。高齢の親がいる方や、離れて暮らしている方は勧めてみてください。 また、海外拠点の犯行グループについては、今年の4月に「特殊詐欺連合捜査班」を設けるそうです。首都圏などの警察に配置された500人の専従捜査員が、各地の警察からの要請に迅速に対応して捜査を進めるとのことです。こちらも何とかしてほしいですね。
◆「頼れる人を作る」ことが大切
ユージ:去年の特殊詐欺の件数が過去15年間で最多になったことについて、塚越さんはどうご覧になっていますか? 塚越:特殊詐欺を含めた刑法犯全体の認知件数は、2021年までは20年近く減少していましたが、2022年~2023年は増加傾向にあります。(警察庁が昨年実施した)アンケート調査でも「ここ10年で日本の治安が悪くなったと思う」と感じている人が増えてきており、「はい」と回答した人が全体の7割近くになります。 根本的な対策は難しいのですが、不安な気持ちになりそうなときは“頼れる人”を作ることが大切です。「情けは人の為ならず」で、自分のためにも家族や身近に頼れる人との関係を築くことも大切です。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年2月14日(水)放送より)