「創業地生まれ“デジタルの申し子”」 日立新社長に德永副社長、来年4月1日付
日立製作所は16日、德永俊昭副社長(57)が2025年4月1日付で社長兼CEO(最高経営責任者)に昇格する人事を発表した。小島啓二社長兼CEO(68)は副会長に就任する。同日、東京都内で会見した德永氏は「世界中の社員と力を合わせ、デジタルをコアとする『One Hitachi』でグローバルリーダーを目指していく」と語った。 【関連写真】記者からの質問に笑顔を見せる場面も 德永氏は茨城県日立市の出身。父親も日立製作所に勤めるなど、「幼少期から日立グループのサービスを受けながら育ってきた」(德永氏)。デジタル畑の経験が豊富で、次期中期経営計画を実行し、デジタル中心の事業を加速するために次のバトンを託された形だ。10月末に社長就任の打診を受けたという。 会見に出席した小島社長兼CEOは「『デジタルの申し子』のような人。創業の地からやってきた大本命」と評する。 世界規模でデジタル事業の拡大を目指す日立は、21年3月にデジタルエンジニアリング大手の米グローバルロジックを買収。約1兆円もの巨額買収を成功に導いたのが德永氏だった。「約1兆円という経験したことのないM&A(合併・買収)はビジネスパーソンとしての覚悟を醸成した」(德永氏)。 井原勝美取締役会議長指名委員長は「日立のリーダーになる資質を試される環境はハードなものだが、長く険しいプロセスの中でもグローバルロジックを買収するなど成果を積み上げてきた」と述べ、「グローバルな成長をデジタルでけん引する社長兼CEOとして德永さんは経験、能力の上でベストだと確信している」と強調した。 德永氏は17年、家電子会社の社長に就任。大きな成長が見込みにくいとされる国内家電市場だが、「(日立の)強いところ弱いところは認識している。パートナーと組んだり投資したりして成長するやり方はある。継続的に成長させていく」(德永氏)とした。 「日立を変えることに恐れがない」(小島社長兼CEO)という德永氏は、継続的な変革を続け、デジタルを軸に「One Hitachi」を目指す方針だ。 德永氏は「一人ひとりのOSを入れ替え続けていくことが必要。私自身が変革を推進していく覚悟だ」と語った。
電波新聞社 報道本部