[山口県]下関北九州道路、主塔間1・5キロで国内最大規模つり橋の見通し ルート素案、下関側に2つのIC
下関市彦島地区と北九州市小倉北区を橋梁(きょうりょう)で結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)について、国や山口県などは30日、下関側の旧彦島有料道路と北九州側の北九州都市高速道路をつなぐ形で計画している延長約8キロのうち関門海峡上を渡る部分(海峡部)の距離が約2・2キロ、海中に建てる2本の主塔間の長さを示す支間長が約1・5キロになる見通しを明らかにした。事業化されれば、支間長1991メートルの明石海峡大橋に次ぐ国内最大規模のつり橋となる見込みだ。 下関市の彦島公民館で同日あった住民説明会でルート素案が示された。関門橋の支間長は712メートルで、下北道路はその約2倍の長さになりそう。海面から橋げたまでの高さは約60メートルで、関門橋と同様に国際航路に支障がないようにする。片側2車線の計4車線構造。 インターチェンジ(IC)を計3カ所設け、彦島には市道本村西山線との交差点部に迫町IC、県道南風泊港線との交差点部に南風泊港ICを、北九州には西港町ICと、北九州都市高速道路と接続する西港町ジャンクション(JTC)をそれぞれ計画している(名称はいずれも仮称)。 JR下関駅周辺と南風泊港ICとを行き来する車両の増加が見込まれるため、関彦橋から南風泊港ICまでの県道南風泊港線の区間を2車線から4車線に広げる案も示された。 彦島公民館で同日の昼間に開かれた初の住民説明会には地権者や関係者ら約110人が出席。「橋だと周囲への騒音が心配。なぜトンネルではないのか」「地域の人口減少につながらないか」といった質問が出たが、目立った反対意見は聞かれなかった。 完成予定時期についての質問もあったが、担当者は「事業主体や整備手法が決まっていないので、未定としか申し上げられない」と答えていた。 下関、北九州両市を結ぶ道路は関門橋と関門トンネルがあるが、老朽化に加え、悪天候や事故の際には通行止めが頻発。本州と九州の広域的な人流と物流、経済活動の活性化を支える大動脈や、災害時の代替路としての機能や役割が下北道路に期待されている。 住民説明会は下関市内で6月2日までの日中や夜に計6回行われる。都市計画手続きの一つで、順調に進めば都市計画決定まで約2年かかる想定という。