インターハイは中止…夏の甲子園開催はどうすべきか?
すでに出場校が決定していたセンバツと、47都道府県で、それぞれ地方大会を戦う夏の甲子園では、大会の運営状況が違う。毎年、全国で先陣を切ってスタートする沖縄県大会は6月下旬に開幕予定。新型コロナの感染防止対策、使用球場の感染予防のための準備などを含めると、センバツのように直前に決定というわけにはいかない。 各都道府県大会の開催の可否は、高野連ではなく、それぞれの都道府県連盟が決定することになっているが、里崎氏は、「5月下旬には方向性を決めるべきだ」と主張する。 「現在、学校が休校となっていて、ごく一部の学校を除けば満足に練習もできていない状況。一から体作りを始め、全体練習、練習試合をして地方大会に臨むには、1か月半の準備期間は必要だと思う。予選の開催時期から逆算して1か月半前となると、地方大会の開始時期を後ろにずらすにしても5月下旬には決めなければ間に合わないと思う」 また里崎氏は、開催可否の決断は学校の再開の有無に同調すべきだという考えだ。 「緊急事態宣言によって休校となっている学校がいつ再開できるのか。感染者数によって全国の都道府県の判断にバラツキがあるが、地方大会の開催を決める基準は、そこにあると思う。学校が始まってもいないのに野球はできない。これはプロ野球の開催の決断のタイミングにも通じる部分だと思う。生徒の安全、健康に最大限の配慮をして決定する休校解除のタイミングが目安になるだろう」
高校野球は学校教育の一環である部活動である。学校が休校の状況で野球部だけが活動を再開することは、そもそもの理念に反することになる。 公立の学校に関しての休校措置は、各自治体の教育委員会が決定することになっている。「特定警戒都道府県」とされている自治体の中には、すでに5月末までの休校延長を決定している地域もあるが、一方で感染者ゼロの岩手県などは、再開準備を進めるなど、都道府県によって対応にバラつきがある。繰り返すが、高校野球の地方大会の開催可否は、それぞれの都道府県連盟が決定するため、春季大会のように自治体の対応に応じてバラバラに無観客も含めて開催の可否を決定することも十分に考えられる。そうなれば、地方大会に地域格差が生まれ、夏の甲子園への”道”の公平性が保てなくなることが懸念される。すでに愛媛などでは出場辞退を決めている学校も出てきている。 高野連は5月20日に「第2回運営委員会」を開き、夏の甲子園の開催可否などについて協議する方向だが、おそらくここでは結論は出ないだろう。無観客開催も含めた可能性が模索されると考えられる。だが、ここで決断を先に延ばし、地方大会の進行状況を見極めながら決めようとすれば、また、そこに様々な問題が浮上してくる。決断が遅れれば、振り回される選手の心のケアの問題などが出てくる。 夏の甲子園は特別だが、命が最優先される、この非常時にあっては、もう特別ではないのかもしれない。 里崎氏は「いつ新型コロナの感染がピークアウトを迎えるのだろうか。特効薬がいつ開発されるのだろうか。夏の甲子園は、やらせてあげたいし、僕自身も見たいが、開催は難しいだろう。個人的には、来年2月に大会開催というアイデアがあるのだが」と厳しい見方をしている。