Tiny Desk Concert、グラミー賞でも話題のエスペランサ “ブラジルの声”ミルトン・ナシメントについて語る
『Nao Ao Marco Temporal』は、夜中にサンバを聴きに行った帰りに、ふっとメロディと歌詞が浮かんできたのがきっかけ。ちょうどミルトンの歌録りのためにエンジニアと会うことになっていたので、その人に連絡を取って、“曲が出来そうだから、レコーディングしたい”と伝えました」 エスペランサは11月に約7年ぶりとなる日本ツアーを開催。黒人、白人の女性ダンサー2人を交え、シアトリカルなパフォーマンスを繰り広げた。 「ダンスと音楽は一緒に進歩してきましたが、ジャズも踊るための音楽だったはずなのに、60年代の半ばからはそうではなくなってしまった。私はその状況を苦しく感じていて、5年くらい前から『どうしたら取り戻せるだろう?』と考えていたんです。今回のツアーにダンサーを入れたのは、ダンスとジャズの関係を刷新して、踊りがあることで音楽に何をもたらすか?という可能性を探りたかったから。音楽と体の動きが自然につながっていることを思い出したかったし、それを今の音楽と今の私たちの体で試してみたかったんですよね」 音楽の歴史に対する深い造形、プレイヤー・作曲家としての類まれなセンスを併せ持ち、常に新たな表現を追求しているエスペランサ。ジャズを中心に、音楽の可能性を提示し続ける彼女の作品にぜひ触れてみてほしい。 (インタビュー・構成/森 朋之) ESPERANZA SPALDING(エスペランサ・スポルディング)/1984年オレゴン州ポートランド生まれのジャズ系ベーシスト、シンガー、作曲家。名門バークリー音楽院を卒業し、歴代最年少で同音楽院の講師になった。2008年8月のデビュー作において、ビルボード・コンテンポラリー・ジャズ・チャートに70週以上ランクイン。音楽だけではなくそのビジュアルの魅力から、ファッションブランド「バナナリバブリック」の広告塔もつとめるなど幅広く活躍している。これまでに計8枚のアルバムをリリースし、「最優秀新人賞」や「最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム」など通算5度のグラミー受賞を果たしている。2024年8月にブラジル音楽界の生ける伝説、ミルトン・ナシメントとのコラボレーション・アルバム『ミルトン+エスペランサ』をリリースした。 エスペランサが出演している「Tiny Desk Concert(タイニーデスクコンサート)」の動画はこちら→ https://www.youtube.com/watch?v=jFUhTmOSdGQ
森朋之