打撃“10冠”ヤクルト山田の何がどう凄いのか?
元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は「キャッチャーの立場から見て最も厄介なタイプ」という。 「明らかな弱点がない。体の回転力で打つのでインサイドをさばけるから、おそらく外のボールだけを意識しているのだろう。バッテリーとしては、こういう長打のあるバッターに対しては、インサイドを意識させて外で勝負したいところだが、そのリードが通用しない。内を打てて、外の変化球に備えているバッターが、最もバッテリー泣かせである。 しかも、ミスショットが少ないので、失投が許されない。そこを意識すると、ピッチャーにプレッシャーがかかり、力みやコントロールミスを生むことにもなる。ただ、見ている限り、本人はそこまで配球を読まずに反応で打っているのかもしれない。まさに天才肌のバッターだ」 3日の逆転ホームランの打席を山田は、「狙っていた」と語った。そして、本塁打の極意を聞かれると悩んだあげく、「ありのままにいくしかないと思います。あまり深いことを考えると体がうごかない。シンプルに打席では何も考えずに自分のスイングするだけ」と、続けた。里崎氏の読み通り、ストレート狙いの変化球対応という自然体で準備しているのだろう。逆に言えば意識せずにインサイドを打てる。それが脅威なのだ。 ファンの関心は、トリプルスリーから40-40、日本人打者として、松井秀喜以来となる50本超えを果たすかどうかに移行しつつあるが、本人は「そこは意識しない」と繰り返す。 前述の里崎氏は、「狭い神宮球場というホームアドバンテージがあるので十分に50本は可能だと思う」と予想している。チームもようやく最下位を脱出して、5位に浮上。館山がもう復帰まぢかで、怪我に泣き育成選手となっている由規も9日の中日戦で先発予定。チャンピオンチームの反撃体勢が整いつつある。 「目標はチームが勝つことですね。1戦、1戦戦うだけだと思います」 頼もしき4番打者がチームを引っ張る決意。そういう試合に臨むモチベーションの高さも、山田の“脅打”を支えていることは間違いない。