打撃“10冠”ヤクルト山田の何がどう凄いのか?
ヤクルトの山田哲人内野手(23)の進化が止まらない。2日の巨人戦での27号決勝ソロに続き、3日の巨人戦では続けてマシソンから、逆転の決勝28号2ラン。インサイドのツーシームが少し内側に甘く入ると、それをジャストミート。打球はレフトスタンドへ綺麗なアーチを描いた。これがプロ通算100号へ王手。 そして現在、本塁打部門だけでなく、打率.344、打点68、盗塁17、安打数100、二塁打20、四球62、得点69、出塁率.458、長打率.715と、打撃に主要10部門でトップの10冠だ。 試合中、日ハム、大谷翔平の先頭打者、初球アーチの情報をメディアから聞かされ、ベンチ裏のテレビ局のモニターで確認して「恐ろしいですね」と感想を漏らしたというが、山田こそが恐ろしい。 では、山田の何がどうすごいのか。 身長180センチで76キロ。小さな体のホームランアーチストとなると、現在、阪神2軍監督の掛布雅之氏以来だろう。 技術的には、左足を大きく上げてタイミングをとり、決して体が突っ込むことはなく回転を使ってボールにパワーを伝える。山田流の意識としては、下半身ではなく、グリップの動きでタイミングを取っているという。これも異例だ。体の近くでボールを捉えるが、スイングの振り出しが小さくコンパクト。それがバットに角度をもたらし、ボールに強烈な上昇スピンを与えることにつながっている。 なにしろバランスが素晴らしい。 パワーがあれば、多少の技術のミスは補える。だが山田の場合、これらがすべてパーフェクトに揃わねば、ホームランという結果にはつながりにくいのだが、今季の山田は、技術的なミスが極めて少ない。 山田自身は、「本塁打については意識をしないようにしたい。そこを意識すると、大振りになる。コンパクトなスイングを心がけたい」と語っているが、よりコンパクトさが洗練されてきたと言える。 試合前に行う各種のティー打撃で、その精度を高めるのが山田流だ。