アカデミー賞、日本映画3作品の勝算は?『君たちはどう生きるか』『ゴジラ-1.0』『PERFECT DAYS』それぞれ分析:第96回アカデミー賞
第96回アカデミー賞授賞式が目の前に迫った。本投票は先月末に締め切られ、オスカー予想の鍵となる主要な賞の結果も出揃って、後は結果を待つだけ。今年は日本の作品が3本候補入りを果たしたが、現地時間10日(日本時間11日)、これらの作品が賞を取る可能性はいかほどのものか。ここまでの経過や過去のパターンを参考に予想してみる。(文:猿渡由紀) 【画像】美しい…『君たちはどう生きるか』ギャラリー 日本から候補入りしているのは、『君たちはどう生きるか』(長編アニメ映画部門)、『PERFECT DAYS』(国際長編映画部門)、『ゴジラ-1.0』(視覚効果部門)。この中で最も受賞の可能性が高いのは、『君たちはどう生きるか』だ。
宮崎駿監督によるこの最新作は、オスカーと投票者が一部かぶる英国アカデミー賞でアニメ映画賞を受賞。投票者がまるでかぶらないロサンゼルス映画批評家協会、ニューヨーク映画批評家サークル、ロンドン批評家サークル、ゴールデン・グローブなどでも、この部門の賞を受賞してきた。宮崎氏は日本国外でも強い尊敬を集めており、これが最後の作品かもしれないということも、業界人の間でよく知られている。アカデミーからはすでに功労賞ももらっているが、今一度大きな拍手を送りたいという思いを持つ投票者は少なくないと思われる。
とは言っても、ダントツのフロントランナーというわけではない。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』という強力なライバルがいる。オスカーを受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編である今作は、1作目同様、画期的なビジュアルと多様性溢れるキャラクターで、興行面、批評面ともに大成功。とりわけ北米内での評価が高いことを反映し、北米の投票者が大多数を占めるプロデューサー組合(PGA)、放送映画批評家協会、ナショナル・ボード・オブ・レビューから賞をもらってきた。さらに大きいことに、アニメ界のアカデミー賞とされるアニー賞でも『君たち~』を制している。