危機管理及びコンプライアンスにおける本質は「正しいことをしよう」にあり
本記事は、 西村あさひ が発行する『N&Aニューズレター(2024/4/30号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひまたは当事務所のクライアントの見解ではありません。
1. 危機管理やコンプライアンスで大切なことは何か
企業や報道機関の方等から「危機管理やコンプライアンスで大切なことは何か」と質問されることがあります。 危機管理の観点からは、真摯な謝罪と説明責任、徹底した事実調査、これに基づく原因分析・再発防止体制・責任追及、被害者救済を含む是正措置、ステークホルダーとの対話、トータルな見通し、想像力などが大切になります。 コンプライアンスや不祥事予防のガバナンスの観点からは、経営者の率先垂範、牽制・チェックの仕組みの整備、その仕組みの不断の検証、単純素朴なメッセージの反復、不正や正当化を生まない組織風土・組織文化、外部の新しい目、心理的安全性の確保などが大切になります。 これらの諸点は対応すべき項目・課題であり、具体的な案件や状況によって力点や方法論は変わってきます※1。 ※1 なお、これらの点に関する各論ないし具体的な私見等は、本稿末尾の座談会、インタビュー記事、ニューズレター等をご参照ください。 他方、危機管理であれ、コンプライアンスであれ、いかなる案件の、いかなる状況においても、常に立ち返っていくべき本質や行動の指針とすべきことは何でしょうか。 私は、それは「正しいことをしよう」にあると思っています。 もちろん、何が正しいかは人によって違うこともありますから、厳密に表現するならば、自分が「正しい『と信じる』ことをしよう」となります。 私自身も、いつも迷ったら「正しいことをしよう」と考えて仕事をしてきました。また、依頼者はもとより、チームとして一緒に仕事をする仲間である当事務所の若手弁護士たちにも、必要な時には、そのようにアドバイスしています。