アナタ! 俗世にまみれたなと思ったら、坐禅、写経、精進料理がオススメですよ
その後、本日の目玉、舎利殿へ。舎利殿は円覚寺塔頭の正続院の境内にあり、神奈川県で唯一の国宝建造物です。最初の建立は1285年頃。その後何度も火災に遭い、現在の建物は16世紀末に鎌倉尼五山の一つであった太平寺の仏殿を移築したものとか。いずれにしろ400年以上前の建築が今もきれいに残っているって奇跡に近いことです。 禅宗様式の建物は、屋根の勾配や廂の反りが美しく、軒下から扇のように伸びる垂木の広がりが、空間を壮麗に演出しています。通常かなり手前の門から覗かなければ外観すら見ることができない舎利殿の中まで入れるのは非常に貴重な体験でした。
舎利殿の隣には、「禅堂」があり、こちらでは現在も僧侶たちが坐禅を組み修行するのに使っているそう。さらにその奥は僧侶たちが日常の作業をするスペースになっていて、洗濯する場所、料理する厨房、風呂場にトイレまで見せていただきました。これがおそらく江戸時代から殆ど変わってないんじゃないのという古風なつくりで、その質素な暮らしぶりが窺われて、非常に興味深いものでした。 その場にいた坊主頭の若き修行僧たちを見ていると、何やら甲子園球児にも通じるすがすがしさを感じるのでありました。
その後は場所を「大方丈」に移動して僧侶の方の特別法話を拝聴。円覚寺創建の精神や、無学祖元禅師の教えについてなど、校長先生の話を聞くような懐かしさを覚えつつ、眠くなることもなく、ありがたく聞かせていただきました。 そして、個人的にとても楽しみにしていた坐禅体験です。以前、取材で別のお寺の坐禅の現場に行ったことはあるのですが、その時は体験できなかったので期待が膨らみます。言われたとおりに座って足を組み、目を半眼にして前方下方向を見るとはなしに眺めます。
数十人が一度に坐禅を組むのですが意外と周りは気になりません。体勢も、初めての割にはどこも辛くなく、むしろ心地よい感じです。そして自分の呼吸の数を数えることに集中すると、次第に雑念も消えて穏やかな心持ちになれるような気がしてきます。ふ~。今回はほんの45分ほどではありましたが、実に爽快。コレはクセになりそうです。