“軍事拠点からの撤退”の動きも…シリア・アサド政権崩壊で“後ろ盾”ロシアへの軍事的影響【日曜安全保障】
FNNプライムオンライン
1週間前、シリアのアサド政権が突然、崩壊しました。 後ろ盾となってきたロシアへの影響を検証します。 シリアの反政府勢力は12月8日、首都・ダマスカスを制圧し、アサド政権を崩壊させたと宣言しました。 この独裁政権の崩壊で、支援を続けてきたロシアは一気に厳しい局面に。 地中海に面したシリアに置いたロシアの軍事拠点を失いかねない状況になっているのです。 その1つ、タルトゥース海軍基地の衛星画像です。 12月5日にはロシアの潜水艦や新型のフリゲートの姿が見られますが、アサド政権崩壊後の10日には軍艦が並んでいた桟橋が空になっています。 また、フリゲートは港の外に出ていました。 フジテレビ・能勢伸之特別解説委員: さらに気になる映像が入ってきました。これまで中東やアフリカににらみをきかせてきたヘメイミーム空軍基地には、大型輸送機が着陸する様子が映っています。その上には自衛が難しい輸送機を防衛するための攻撃ヘリが飛行していました。ロシア軍の兵士や装備を載せて撤収する輸送機を守ろうとしているとみられます。 戦略的な軍事拠点からの撤退とみられる動き。 そして、シリア空軍のハマ基地では、1960年代から70年代にかけて活躍した古めかしい戦闘機が、反アサド勢力に対抗するためなのか爆弾をつり下げた状態で強固な屋根の下にありました。 フジテレビ・能勢伸之特別解説委員: 掩体壕(えんたいごう)の外に同型機があるんです。あまりにも古い戦闘機なのでパーツの供給もままならず、同型機から必要なパーツを抜き取って使ったのでしょう。こうしたこともあってかシリア空軍では、30%から40%以下しか使えない機種もあるとみられていました。ロシアの支援はウクライナ戦争後、特に先細ったかもしれません。 では、シリア国内にある巨大な軍事施設やアサド政権軍の装備は今後、どうなるのでしょうか。 早速動き出したのは西の隣国・イスラエルです。 アサド政権軍の施設への爆撃を繰り返し、ミサイル艇などを集中的に破壊。シリア軍の再建を困難にしたいかのようです。 混沌とするシリア、そしてロシア。 フジテレビ・能勢伸之特別解説委員: ロシアとの戦争が続くウクライナの国防省はロシアがタルトゥースとヘメイミームの基地を失う可能性が高く、中東におけるクレムリンの敗北は決定的になるだろうと強い関心を示しています。シリア国内のロシア軍基地の行く末は、対ウクライナ、さらに世界の勢力図にも影響しそうです。