29カ国の超過死亡を分析…コロナワクチン接種が死亡率減少と関連
【役に立つオモシロ医学論文】 新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした影響は、国や地域によって異なります。2020年の統計データにおいて、同感染症による人口10万人あたりの死亡者数は、フィンランドやノルウェーなどの北欧諸国では10人未満であったのに対し、スロベニアやベルギーでは140人を超えました。 コロナ後遺症が変異株で変化の兆し? オミクロン流行時ではデルタ流行時より減少傾向に そのような中、同感染症による超過死亡について、地理的な相違や要因を解析した研究論文が、欧州の地域保健に関する学術誌に、24年7月3日付で掲載されました。 この研究では、欧州地域の29カ国を対象に、20~23年における同感染症のパンデミックの状況と、超過死亡が分析されています。 本研究における超過死亡とは、感染症のパンデミック以前に観察された死亡率に対して、パンデミックが発生したことで死亡率が、どれほど超過していたかを意味する指標です。 解析の結果、29カ国全体の超過死亡は、4年間の調査期間中に164万2586人と見積もられました。これは、パンデミックが発生しなかった場合と比べて死亡率が8%増加したことを意味します。 超過死亡者数が最も多く観察された国はイタリアで22万7736人、超過死亡率が最も上昇した国はブルガリアで17.2%増でした。特に、東欧諸国に在住している人や貧困層で高い超過死亡率が観察されました。 一方で、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人の割合が高いことは、超過死亡率の減少と関連していました。論文著者らは「パンデミックの影響を軽減するためには、社会経済的な不平等に対処し、医療制度を強化し、ワクチン接種率を高めることが重要である」と結論しています。 (青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)