さば飯だけで勝負、「ほぐして混ぜる」醍醐味で人気
「さばめしの鯖匠」は、2021年10月に開業。以前は、同エリアの別店舗でサバ料理をメーンに提供する居酒屋を運営していた。その店舗で土鍋ご飯と魚のセットをランチ提供していた際、たい、さば、アナゴの中でさばが一番人気だったことに加えて、同店の泉谷勇二代表取締役自身の「さばが大好きなんですよ」という“さば愛”から、さば飯だけで展開する業態を立ち上げた。 ご飯+惣菜の和定食を提供する店舗というと多種類の料理を揃えている店が多い中、“さば飯”のワンメニューで勝負というのは大胆な試みにも思えるが、同店を運営するダイニングデザインの泉谷代表によると「外食店はいっぱいあり、料理の選択肢もいろいろある。その一つとして『さばが食べたい』というときに、選んでいただければいい」と、目的型来店を見据えた店だ。 同店のメニューは、シンプルな「さばめし」、サバに甘辛いたれを絡めて焼いた「タレさばめし」、塩だれに絡めたネギをのせた「ネギさばめし」、梅肉をのせた「梅さばめし」の4種類を用意している(サイドメニューあり)。主役の焼きさばにご飯、だし汁、鮮魚のごま和え、だし汁、各種薬味が並ぶ定食スタイルだが、ご飯の上に焼きさばをのせた迫力ある盛り付けが強烈な魅力を放っている。 その盛り付けも人気の大きな要因の1つだが、同店のさば飯はただ盛り付けが個性的というだけではない。「うちのさば飯はさば定食ではありません」と泉谷代表が表現するように、ご飯にさばを合わせて食べる定食セットとは一線を画す。「さばの脂とご飯が混ざるおいしさをぜひ味わってほしい」と、しゃもじでさばをほぐしながらご飯と混ぜて一体化させて食べるのがポイントで、混ぜて食べるのが前提のため、骨が口に当たらないよう手作業で丹念に骨を抜いているという。 また、「さばとご飯の一体化」をとことん追求し、白飯ではなくマダイのだしと昆布で炊いたご飯を合わせているのも、泉谷代表のこだわりだ。店で推奨している食べ方は、まずはほぐしたさばとご飯を混ぜて。次に薬味とごまを加えて。3杯目はだしを注ぎ、刻みワサビ(またはカリカリ梅)をのせて茶漬けで。鮮魚のごま和えは、1杯無料の“追いめし用”に添えているそうで、「どこまでもさばのおいしさだけでご飯を食べてほしい」という泉谷代表のさば愛が垣間見える。 さば定食とはやはりひと味もふた味も違い、満足度はすこぶる高い。 ●愛用食材・資材「かば焼のたれ」 オタフクソース(広島市西区)醤油ベースでとろみのある甘口のかば焼きのたれ。同店では「タレさばめし」「タレ鯖串」に使用。甘党という泉谷代表の味覚にハマッたそうで「甘さが際立っている点が気に入りました。サバを焼いた後、同品を絡めてから二度焼きすると味がよくのり、照りもよく仕上がります。魚に合う味ですよ」と言う。規格=2.2kg ●店舗情報「さばめしの鯖匠」経営=ダイニングデザイン/店舗所在地=東京都千代田区神田三崎町2-21-11 ゑびすビル1階/開業=2021年10月/坪数・席数=8坪・15席/営業時間=午前11時30分~午後2時30分、午後5時~午後9時、土日祝午前11時30分~午後2時30分。無休/平均客単価=980円/1日平均集客数=130人
日本食糧新聞社