新たな「攻撃的3バック」がゴールラッシュ生む サッカー日本代表
◇サッカーW杯アジア2次予選(11日・エディオンピースウイング広島) ◇◯日本5―0シリア● 【写真まとめ】前半、ゴールを決める上田綺世 新たなオプションに自信を深めるゴールラッシュとなった。2次予選の最終戦で森保一監督は6日のミャンマー戦に続き、3バックを採用して前半を戦った。これまでの代表での戦術と一線を画す攻撃的な布陣が爆発力を生んだ。 戦術の鍵を握る両ウイングバック(WB)が躍動した。左に中村敬斗、右に堂安律。前半13分、中盤で相手からボールを奪うと、素早く左へ展開。中村がドリブルで仕掛け、クロスを上げてFW上田綺世の先制点をアシストした。6分後に追加点を生んだのは堂安。ペナルティーエリア手前でパスを受けると、相手DFとの駆け引きを制し、左足を振り抜いて技ありのゴール。堂安は「自分の特徴が出しやすいポジションだなと思った。なるべく前に前にアグレッシブに行くようにした」とうなずいた。 3バックはこれまでの代表でも取り入れていたが、最大の違いは攻撃的であることだ。WBがなるべく高い位置をキープし、攻めることに主眼を置いている。そのため、この試合でも攻撃に特徴を持つ中村、堂安をWBに起用し、ゴールを狙わせた。森保監督は「我々がボールを握る形の中で、良い攻撃を仕掛けるという部分での良いチャレンジをしてくれた。これから一つのオプションとしてチームで共有できる」と手応えを口にした。 2次予選は、戦力で劣る相手に大勝を重ね、守備も全6試合無失点と圧倒した。しかし、1、2月のアジア・カップでは準々決勝で敗退。特に苦しんだのがロングボールだった。体格差を突かれ、日本は主導権を失った。3バックはその対策という側面もある。前線からボール保持者に圧力をかけ、たとえ放り込まれても、高さのあるDF冨安健洋らではね返す。シリアはロングボールを多用してこなかったが、テストとして意義は大きい。 最終予選は9月に始まる。森保監督は前回大会の苦戦を引き合いに「最終予選は別次元の厳しい戦いになるということを私自身ももう一度肝に銘じて準備をしないといけない」と引き締めた。手にした収穫を最大化していく。【生野貴紀】