【M-1グランプリ2024"敗者復活戦"展開大予想②】決勝進出コンビ8組的中!「編集者の阪上」さんのロジック予想
今年一年、世界情勢は予想外の出来事の連続でした。韓国でクーデターが起こり、シリアではアサド政権が崩壊し、自民党が選挙で敗北する激動の一年。そんななかで、アメリカではトランプ大統領が再選されました。 なぜ再びトランプが大統領に選ばれたのか。東洋経済新報社から出版された『それでもなぜ、アメリカはトランプを支持するのか』は、アメリカのトランプ現象を読む解くために必読の書ですが、この本に書かれた分析を簡潔に言うなら、「少数の知的エリートが政治も経済も支配し、富を独占する構造に、アメリカ国民がノーを突き付けた」ということです。 トランプを支えたMAGA(MAKE AMERICA GREAT AGAIN)運動とは、「何も考えずに笑えた、あのころのアメリカに戻りましょう」ということだと、私は理解しています。そしてこのトランプ現象は、形を変えながらも各地域に浸透していると認識しています。 さて、世界のトレンドは必ず日本社会の隅々にまで影響を与えます。お笑い界にもしかり。いまの漫才には、ボケを理解するために多少の知識や前提理解が必要だったり、あるいはボケた後にすぐに笑いが起こるのではなく、ツッコミが丁寧に解説をした後に笑いが起こるタイプのネタがたくさんあります。いわば、観客の側に一回考えさせて面白さを分かってもらう「理論系」「解説系」とでも言いましょうか。このタイプが増えている。 これに対して、お笑い界にもトランプ現象よろしく「難しいことはいいから、何も考えずに感覚で笑えるネタが見たい!」という、フィジカルでプリミティブな笑いを求める「お笑い回帰現象」が起こっていくんじゃないか、世界情勢を鑑(かんが)みると、今年はその始まりの年になるんじゃないか......そんな予感がしています。 この現象が起こると仮定して、決勝で「何も考えずに感覚で笑える」ネタをやるのはどのコンビか――。ずばり、トム・ブラウンとバッテリィズです。 詳しいネタの内容には触れませんが、いずれも「バカなことをやって」「アホなことを言って」笑いを取るコンビです。丁寧な解説はいりません。見て笑える。感じて笑える。笑いが起こるまでに、考える時間を必要としない。世界の潮流の変化を背景に、今年はこの2組のどちらかが優勝するのではないかと思っています。 記念すべき20回大会。どのコンビが優勝するのか、本当に楽しみです! 【編集者の阪上】Xでフォロワー2万8000人を超えるお笑いファン。2016年以降、3回戦以降のM-1予選をすべてチェックしている。本職は編集者で、12月19日にはプロモーションを担当する書籍『格闘技が紅白に勝った日 2003年大晦日興行戦争の記録』(細田昌志著、講談社)が発売された。 『M-1グランプリ2024』ABCテレビ・テレビ朝日系■敗者復活戦 2024年12月22日(日)15:00~18:30■決勝戦 2024年12月22日(日)18:30~22:10 取材・文・撮影/徳重龍徳