[山口県]「晋作の湯」再スタートへ 今月8日惜しまれつつ閉業 地元経営者ら事業承継 下関市・吉田
新たな交流拠点に運営スタッフ全国公募
幕末の志士、高杉晋作が眠る下関市吉田の東行庵そばにある天然ラドン温泉の日帰り温泉施設「晋作の湯」が、地域活性化や交流の拠点として生まれ変わる。今月8日に閉業したが、地元で太陽光発電事業などを手がける企業経営者らが事業承継し、若者の移住者を運営スタッフとして呼び込む形で新たな体制を構築した上で、年内をめどに再スタートさせたい考えだ。 月5千人が利用していたという下関市吉田の「晋作の湯」(今月1日撮影) 「晋作の湯」は2008年6月にオープンし、地元の建設会社の経営者らが手がける株式会社晋作の湯が運営していた。1階に浴場と露天風呂、2階に休憩室があり、月5千人が利用していたが、経営陣らの高齢化など事業の継続性が困難と判断したことから閉業を決めた。 ただ、地元で愛されてきた施設を惜しむ声を多く聞いたことから、吉田地区で太陽光発電事業などを行う「Ku.ver.Land」(下関市、久芳虎丈代表社員)と、創業者支援などに取り組む「リージョナルマネジメント」(同、北尾洋二社長)が事業承継を決断。「晋作の湯『ととのい』プロジェクト」と名付けて新たな温泉まちづくりに乗り出すことにした。 温泉の入浴料を収益の柱としつつ、温泉を活用したシェアスペース事業や婚活イベントの開催、アウトドア拠点の整備をはじめ、移住体験イベントやマルシェの開催といった事業展開を計画している。全国的なブームになっているサウナを新設して、吉田を「サウナの聖地」として情報発信していく考えも。さらには太陽光発電とリンクさせた再生可能エネルギーによる持続可能な温泉運営といった将来構想を掲げる。 運営スタッフを全国公募し、移住者を下関に呼び込む。20、30代をターゲットにしており、経営や運営、マーケティング、イベント企画・実施などに当たってもらう。空き家をリノベーションした住居を用意するという。 プロジェクトの共同代表を務める久芳さん(44)と北尾さん(45)が下関市役所で記者会見して構想を発表し、リニューアル効果で従来の1・3~1・5倍の利用者を見込んでいるとした。 久芳さんは「泉質がすごく気に入っている一方、サウナがないことを残念に思っていた。事業再構築の成功のためには、これまでのお客さまを大事にしながらサウナを新設することで新たな客層を開拓していくことが肝要」、北尾さんは「新しいタイプの地域活性化やまちづくりに向けたプロジェクト。クラウドファンディングを活用して資金調達していく」と語った。