高校生が取ったはちみつを朝食バイキングに提供 札幌市のホテル
【北海道・札幌】2012年にスタートした市立札幌大通高校(札幌市)の「ミツバチプロジェクト」。これは、ミツバチの飼育・はちみつの採蜜を授業に取り入れることで、地域の環境を意識して生活することの大切さを再認識する目的で始まりましたが、このはちみつが札幌市内のホテルの朝食バイキングで提供されることになりました。
このホテルでしか提供し得ないメニューを
大通高校は単位制を採用する普通科高校で、この生徒が飼育・採蜜したはちみつを提供しているのは、JR札幌駅前にあるセンチュリーロイヤルホテル(札幌市中央区)。「野菜・玄米を中心とした体に優しい食を提供する」ことをコンセプトにしている「ユーヨーテラスサッポロ」の朝食バイキングで、4月27日(4年前のこの日に、大通高校にミツバチが届いた)から提供されています。 「地場資本のホテルとして、このホテルでしか提供し得ないメニューを検討していまして、その中でお知り合いになった大通高校と協働させていただくことになりました。良い食材・産地を求めるだけでなく、当ホテルオリジナルの食材を開拓したいと大通高校に申し出まして実現しました」と語るのは、同ホテル営業企画室支配人の蝦名訓(えびな・さとし)さん。 このミツバチプロジェクトで完成したはちみつは、これまでイベント会場で生徒たちが直接売ることはありましたが、今回のように飲食店で提供されるのは初。ホテル側も、これまで高校生の職業体験・見学などは受け入れていますが、本格的な協働としては初めてとなります。
チーズコーナーに設置された理由
大通高校が取り組んでいるのは「単花蜜」の採蜜で、周辺環境の観察と内検によるはちみつの味の判定が必要になります。このように採蜜されたはちみつは、熱処理をしないことから糖度はそのままに徐々に熟成していき、時間の経過とともに味が変化していくのだとか。 「私とレストランの副支配人らで大通高校に伺ってはちみつの味見をしたときに、副支配人から『このはちみつはチーズコーナー、特にブルーチーズが合うと思います』というアイディアが出て、チーズコーナーの横にはちみつを置くことにしました」(蝦名さん) その通り、チーズコーナーには、はちみつを採蜜する「巣枠」とともにはちみつが置かれています。筆者も3種類のチーズを試食させていただきましたが、ブルーチーズの風味と独特の濃厚でズシンと来るはちみつの相性はバッチリでした。 ちなみにこちらのはちみつ、今のタイミングはシーズンオフとのことで6キログラム限定の提供。スタートから2週間~1か月で品切れしてしまうことが予想されています。 今後の予定としては、5月中に包括連携協定を結び、同ホテル専用の巣枠でホテルのスタッフも参加してミツバチの飼育・はちみつの採蜜を行うということです。 (ライター・橋場了吾)