キーワードは「8割出力」と「好球必打」…大谷翔平「外角打ち」と「逆方向の長打」の超進化
100マイル(約160㎞/h)近い胸元の剛速球を、ライトスタンド上段へ――。 打者・大谷翔平(29)といえば、超人的な筋力と、身体がねじ切れんばかりのフルスイングでホームランを量産する、メジャー屈指のパワーヒッターだ。ところが最近、どうも様子が違っているという。 【写真をみる】すごい…!スポーツウェアブランドで紹介されていた真美子夫人の「美脚ぶり」 「ショーヘイはランナーがいる時、軽打を意識しているように見える。5月15日(日本時間)のジャイアンツ戦の、第3打席に放ったセンター前ヒットがそれを象徴しています。エンゼルス時代のように長打を狙って豪快なスイングをするよりも、後に控えるフレディ(フリーマン・34)に繋ぐ意識が強いのでしょう。 “大谷翔平の日”に制定された現地5月17日のレッズ戦で放った13号本塁打も、外へ逃げるツーシームを逆らうことなく運んだ。あまりにリラックスしたスイングだったので、現地で見ていた我々もまさかスタンドまで届くとは思いませんでしたよ」(ロサンゼルス地元紙記者) 5月21日のダイヤモンドバックス戦の第1打席では初球にセーフティバントを決めるなど、打者として更なる変革を見せている大谷。野球解説者の小早川毅彦氏は、「強振と軽打を使い分けることで、外角への対応が進化している」と語る。 「左打者にとっては、左投手のアウトコースへ逃げていく変化球や、右投手の外の落ちるボールへの対応が最も難しい。今季の大谷は、これらのボールをしっかりと見極め、打てる球のみをスイングしている。昨年よりも体幹が強化されているため、体勢が崩れることも少なくなった。こうした『好球必打』のバッティングは、結果にも現れています。打球がバレルゾーン(長打が生まれやすい範囲の打球角度)に入る打席が、全打席の15%以上を占めているのです。昨年は約12%だったので、1年で3%向上しています」 こうした変化が、リーグトップの打率.356、同2位の13本塁打(数字はいずれも5月22日時点)という好成績に繋がっているのだろう。 「投手は打たれまいとコースギリギリを攻めてきますが、大谷はエッジピッチ(ストライクゾーンの境界線)の打率がエンゼルス時代の.236から3割にまで上がっています。際どい球を力んでフルスイングするか、単打でもいいと割り切って合わせるかでは打率が大きく異なります。しかも、大谷はメジャーでもトップクラスのパワーとスイングスピードを誇るため、ミート中心のバッティングでも結果的に長打が生まれる。8割の出力でも、レフトスタンドにホームランが打てるんです」(小早川氏) 例年、6月からさらに調子を上げ、本塁打を量産する大谷。ところが今季は、慎重にペースを上げていくことが予想されるという。 「ドジャースはここまで50試合を戦って33勝の常勝軍団ですから、確実にプレーオフに出場するでしょう。その場合、昨年より1ヵ月も長く戦うことになる。コンディション維持を意識し、強引なプレーは減るのではないでしょうか」(同前) 得意なコースは豪快に振り抜き、際どい外のボールは逆らわず逆方向に。死角なき英傑は、「過去最高打率の三冠王」という栄冠を手にするかもしれない。 『FRIDAY』2024年6月7・14日号より
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