『地面師たち』ダーティな犯罪者に“なぜか惹かれてしまう”理由。被害者が相次いでも「気が滅入らない」
制作費は地上波の5倍。ドラマの質にも“穴”はない
ドラマの質を決めるのは「1に脚本、2に俳優、3に演出」である。このドラマの場合、一番大切な脚本が抜群である。説明的要素を入れなくてはならない第1回を除くと、目の離せない展開が続く。時間が過ぎるのを忘れる。予測はことごとく裏切られる。CMがない強みも生かされている。 レイティング(年齢制限)があり、視聴を16歳以上に限定しているのもヒットした理由だろう。レイティングがあるのは暴力シーンが多少含まれているためだが、アンダーグラウンドの世界を暴力抜きに表現するのは難しい。米国刑事ドラマも暴力シーンを含める代わりにレイティングを設けている。 豪華な出演陣も観る側を惹き付けているはず。主要キャストは全員、文句なしにうまい。地上波ドラマではマネできないだろう。Netflixの制作費は1時間当たり約1億5000万円なのに対し、地上波の1時間ドラマの制作費は約3000万円(プライム帯=午後7~同11時)に留まるからだ。Netflixの制作費は地上波の5倍。俳優のギャラに限っても数倍。だから本人と所属芸能事務所は大歓迎なのである。 脚本執筆にも手間と時間が掛けられる。また「こんな場所でも撮るのか」というシーンがいくつもある。さらに観ると分かるが、カメラの位置が頻繁に変わる。撮影と編集に十分な資金が使われているからだ。 『地面師たち』には穴がない。再生数はまだ伸びるだろう。 <文/高堀冬彦> 【高堀冬彦】 放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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