藤井聡太が小学3年で指した絶妙手とは? トップ棋士の子ども時代のスーパープレー
棋士たちは、少年時代にどんな将棋を指していたのか?2024年4月3日に発売された『将棋世界2024年5月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)の付録『棋士たちの小学生大会』では、トップ棋士たちの小学生大会で指した将棋とエピソードを次の一手形式でご紹介しています。 本記事では、その中でも羽生善治九段、渡辺明九段、佐々木勇気八段、藤井聡太竜王・名人の将棋を抜粋します。彼らの才能の片鱗をぜひ味わってください。 ※小冊子より抜粋しているため、問題の番号が連続していません。 (以下抜粋)
■第3問
羽生善治九段は、小学生名人戦優勝→棋士のルートを通った2人目の棋士だ。第7回大会。当時からオールラウンダーだった羽生は中飛車にし、山下雄さんの▲4六金戦法を迎え撃った。振り飛車らしくさばいていく。 (先後逆)
■第3問解答
▲6七銀(解答図) 赤ヘル少年 小学1年のときに友人から将棋を教わった羽生はものすごいスピードで力をつけていった。道場では羽生のために特別に作られた14級からスタートし、4年生で二段に、5年生で五段に到達した。子ども大会には母親が遠くからでも捜しやすいようにと広島カープの帽子をかぶって参加。各地で優勝をさらった。そして6年生となった羽生は小学生名人戦決勝の舞台に立つ。 問題図では▲6七銀が飛車道を通して幸便。以下、△同金▲同金△8七歩成に▲7一飛成できれいにさばけた。解説の谷川浩司九段も「これで困りましたね」と羽生の優勢を断じた。▲7一飛成に△8六飛と逃げたが、そこで▲7六金などとせず▲5二金と攻めたのが最速の寄せを目指した好手。以下、羽生が大きくリードを広げて第4問の局面へ。
■第4問
羽生は二枚飛車+一段金で後手玉を追い詰める。図は▲3一金と相手の金を取って王手した手に△3三玉と逃げたところ。図では▲4一飛成でも勝ちだが、ここからの指し手は羽生の才能を示すものだった。 (先後逆)
■第4問解答
▲3二金(解答図) いざ、奨励会へ 小学5年で五段の実力に達していた羽生は奨励会入会を希望する。しかし、その相談を受けた八王子将棋クラブの中嶋克安指導棋士六段は、受験のために「第一に小学生名人になること、第二にいままで以上の情熱を持続すること」という厳しい条件を課した。 図では王手で入った金をただちに捨てる▲3二金が好手。以下、△同玉▲2一飛成△3三玉▲3一竜左△同銀▲同竜△3二金に▲2二銀で、山下さんは投了した。指し続けるなら△2四玉しかないが、▲3六桂△3五玉▲4六金△2五玉▲2六歩△同玉▲2七銀△2五玉▲1七桂までの詰みだ。 スタジオにいた羽生の母親は対局後、真っ先に師匠となる二上達也九段に電話した。「これで奨励会の入会試験が受けられる」と母子ともにホッとしたという。