旧安倍派は巻き返せるのか 鍵握る岩盤保守層の奪還、不信任に備えて態勢作りを 石破首相をおろせないようでは情けない
【日本の解き方】 10月の衆院選で自民党の旧安倍派は議席を大きく減らした。今後、保守派が勢力を結集させたり、巻き返したりすることはできるのか。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 自民党派閥の衆院での勢力図をみると、旧安倍派は昨年12月1日時点で59人いたが、衆院選後は無所属となった萩生田光一元政調会長と西村康稔元経産相を除く20人となった。麻生派は40人から31人に、旧岸田派は34人から26人に、旧茂木派は32人から27人に、旧二階派は31人から21人となり、旧森山派は立候補した7人全員が当選した。 見事なほどに旧安倍派が大幅に減っている。石破茂首相にとって、党内抗争としては上出来だったのかもしれないが、結果的に自民党は歴史的大敗を喫した。 党勢が表れる比例票について、今回と前回2021年の衆院選を比較すると、前回の選挙より比例票を減らしたのは自民党と公明党、日本維新の会、共産党などで、増やしたのは国民民主党とれいわ新選組だった。新興政党では参政党と日本保守党も一定の票を獲得した。 自民党、公明党、維新の票は、より右といえる参政党と保守党や、中道の国民民主党に流れたとみることができる。意外なようだが、立憲民主党は比例票は微増にとどまった。小選挙区では自民党の自滅によって棚ぼたの議席を得た形だ。 なお、得票率でみると、自民党は民主党に政権を奪われた09年の衆院選時に26・7%で、前回21年は34・7%だった。今回の衆院選では26・7%と政権交代時に逆戻りした格好だ。 維新と国民民主党はともに中道右派で政策が似ているので、単純化すれば、維新の減少分がそのまま国民民主党の増加となったとも解釈できる。 参政党と日本保守党には、自民党の岩盤保守層の票が流れたとみられる。参政党は95人の候補者を立て、小選挙区で約135万票、比例で約187万票を獲得した。日本保守党は30人の候補者を立て、小選挙区で約15万票、比例では約114万票を獲得している。 石破自民の政策は、安倍晋三政権当時よりかなり左傾化し、野田佳彦代表の立憲民主党と見間違うほど似通っていた。となると、岩盤保守層は逃げ出し、受け皿が参政党や保守党になったのだろう。公明党の減少は自然減とみていいのではないか。