和平プロセスはどうなる? シリア大統領選のポイントは
さらなる戦火の火種
結局、ジュネーブ2は「テロとの戦い」を強調するアサド政権と、アサド大統領の退陣を求める反体制派の対立により、2月に中断。全く着地点が見いだせない対立は、今回の大統領選挙でより悪化しています。 首都ダマスカスなどでは、大統領支持派を中心に選挙集会が行われています。しかし、5月22日に南部ダルアーで大統領派の選挙集会に反体制派が砲撃し、少なくとも21名が死亡するなど、国内の分裂は加速しています。 国外では、反体制派を支援する欧米など11ヵ国が、5月15日に選挙への非難と反体制派への支援強化で一致。一方、シリアを支援し、ジュネーブ2不参加のイランは選挙を支持。さらに、やはり一貫してアサド政権を支援してきたロシアは、5月30日に選挙監視団の派遣を発表しました。これは選挙の実施を、実質的に承認したことを意味します。 大統領選挙は内外の対立をより深刻化させ、シリア問題をさらに長期化させる一因になると言えるでしょう。