ヴィッセル神戸のバルセロナ化は今季こそ成功するのか?
J1クラブの監督と今シーズンの“顔”となる選手が一堂に会する開幕直前の恒例イベント、Jリーグキックオフカンファレンスが14日に都内で開催され、昨夏にヴィッセル神戸へ加入した元スペイン代表のレジェンド、MFアンドレス・イニエスタ(34)が初めて参加した。 来日するまでFCバルセロナひと筋でプレーした世界屈指のプレーメーカーにとって、敵味方の垣根を越えたイベントは初体験だった。「Jリーグを代表してこの場にいられることを光栄に思う」と笑顔を浮かべながら、開幕前のキャンプから臨める新シーズンへの抱負を語った。 「コンディションはすごくいい。去年は適応するのにちょっと時間がかかったが、今年はしっかり準備ができている。去年よりも相手チームのことを多く知っているので、それぞれに合わせてよりよい選択ができる。自分のベストのバージョンを出していきたい」 今シーズンのヴィッセルはイニエスタの古巣、バルセロナを目指す動きに加速がついている。バルセロナに黄金時代をもたらしたジョゼップ・グアルディオラ監督(48)が師と仰ぐ、稀代の戦術家フアン・マヌエル・リージョ監督(53)が電撃就任した昨秋から引き続いて指揮を執っている。 オフにはスペイン代表で歴代最多の59ゴールを誇るストライカーで、バルセロナでもともにプレーした盟友、ダビド・ビジャ(37)がニューヨーク・シティFCから加入。3年目を迎えたキャプテン、元ドイツ代表のFWルーカス・ポドルスキ(33)を含めて、豪華絢爛な顔ぶれが前線にそろった。 ユベントスへ期限付き移籍したことで破談となってしまったが、バルセロナでプレーした経験をもつウルグアイ代表のDFマルティン・カセレスの獲得に動いていたことも明らかになっている。ワールドクラスの大物獲得を積極的に進める先にある、バルセロナ化という野望は実を結ぶのか。 「僕たちは独自のスタイルを目指している。特定の選手というよりも、チーム全体が守備から攻撃にわたって、バランスの取れたサッカーをすることが大事だと思っている。監督は去年、チームが難しい時期にやって来たが、スタイルの追求を含めてチームにはいい形が生まれている。成功することを、チームに関わる全員が願っている」 こう語ったイニエスタはしかし、バルセロナ化という言葉を使わなかった。 バルセロナの成功に倣うように、同じスタイルを標榜する動きが世界中へ広まった。しかし、ボールポゼッションを高めることはできても、成功した例はごくひと握りだったことを知っているからだろう。 成功したのはグアルディオラ監督がその後に指揮を執ったバイエルン・ミュンヘンとマンチェスター・シティ、あとはマウリツィオ・サッリ監督(60)に率いられたナポリくらいだろうか。 バルセロナでさえ、ヨハン・クライフが監督に就任した1988年から長い年月をかけて、ボールをつなぐ哲学を植えつけてきた。