《ブラジル》リオ・グランデ・ド・スル州大洪水 南伯援協会館が3m浸水 草の根の巡回診療バスも水没か 現地日本人が語る凄まじい状況
給水所が再稼働し、一部では給水が復活したが、それでも地区全体では全く足りず、給水車も被害地域を回っているが、交通網が寸断されているため、飲料水の確保が一番の課題になっていると森口さんは話した。 また、交通網の寸断は、他地域からの支援物資の搬入を阻害し、救助者の運搬にも悪影響を及ぼしているという。 治安状況も悪化している。森口さんは「この状況を利用した空き巣や強盗が多発しています。なので、自宅が冠水していても家から出たくないという人が大勢います。救助隊がボートで家まで行っても、住民をまず家から出るように説得しないといけません。これが救助活動を困難にしている理由の一つです」と語る。 平時から治安の悪い地域に救助隊が行く際は、必ず警察が同行するようになっているという。夜は特に危険で、救助活動ができない場合もある。救助活動中の銃撃事件も発生しているという。 避難所には麻薬常習者も多く、「避難所内で麻薬組織同士の喧嘩が起こるなど日本では想像もできないような事態も生じています」と語った。 ポルト・アレグレ市は平均海抜が10mで、排水に多くの時間を要することが懸念されている。 被害地域は州全域に及び、家屋だけでなく工場や耕作地のほとんどすべてが水の下となった。
報道によると、同市のサルガド・フィーリョ国際空港も少なくとも今月末までは再開の見通しが立たっていない。物資の輸送や外国人観光客などの避難には隣町にある軍の基地の滑走路を使うよう、航空会社が調整しているという。 現在不足している物資について森口さんに聞くと「飲料水、衛生用品、下着、清掃用品、そして、これから寒い季節に入るため、毛布類が必要です」と話した。 困難な状況が続く中、森口さんは「救助活動のため、軍隊や他州の警察が多数派遣され始めました。また、自分も家が流されているのに、他の人の救助を手伝ったり、ボートやジェットスキーを持っている人たちが救助活動を行ったりと、一般市民の素晴らしいボランティア活動も展開されています。100カ所以上ある避難所では、受け入れや炊き出し、支援物資の仕分けや配給が行われ、町中の人たちが総出で対応にあたっており、素晴らしい助け合い精神を感じています」と語った。