朝ドラ効果で「法服」に脚光 松本・歴史の里に展示
日本初の女性弁護士の一人、三淵嘉子(1914~84)をモデルに描くNHK連続テレビ小説「虎に翼」が放映される中、長野県松本市島立のたてもの野外博物館・歴史の里に展示される「法服」が脚光を浴びている。法服とは明治時代に定められた判事や検事、弁護士の制服で「虎に翼」でも主人公の寅子が着用。ドラマのオープニングにも登場する印象的なガウンとあって、歴史の里では来館記念に袖を通す人が増えている。 同館によると法服は、明治政府が近代国家の基盤となる司法制度を確立する中、同20年代の服制に基づき定められた。黒地に刺しゅうされた襟元の文様の色で職を表し、判事が紫、検事が赤(緋)、弁護士が白だ。東京美術学校(現東京芸術大学)の黒川真頼教授がデザイン。聖徳太子の図像やヨーロッパの法服を参考にした結果、和洋折衷の独特のものになったという。 旧日本司法博物館の流れをくむ歴史の里は往時の法廷を再現しており、法服をまとった裁判長や検事、弁護人の人形が展示される。この"法廷"では来館者も法服の着用を体験できるが、近年大々的に注目を集める機会はなかった。しかし「虎に翼」の放送開始以降「来館者が袖を通した形跡が散見されるようになった」(同館)。閉館後に職員が見回ると、体験用の法服が朝とは違うたたずまいになっている日が増えたという。 展示場所は重文旧松本区裁判所庁舎内。華やかさこそないものの、司法の歴史に触れる大切な場所だ。須永瑞希学芸員は「ドラマをきっかけに興味を持ってもらえるならうれしい。明治期に建てられた裁判所内で当時の雰囲気に浸って」と話している。
市民タイムス