滋賀県=ブラジル人学校2校で門出祝う=サンタナ学園と日本ラチーノ学院=地域ぐるみで笑顔の卒業式
滋賀県内にある2校のブラジル人学校「サンタナ学園」と「日本ラチーノ学院」で、12月14日に卒業式がそれぞれ挙行された。両校の卒業式ともに家族や支援者、地域住民がお祝いにかけつけ、会場全体が温かい雰囲気に包まれながら卒業生の新たな門出を祝ったことは共通していた。 午前中は愛荘町にあるサンタナ学園の卒業式が行われた。同学園には県内各地から3歳児から18歳まで約50人の子どもたちが通っている。この日は幼稚部4人、中学部4人、高等部1人が卒業の日を迎えた。 中田ケンコ校長は「学校は子どもたちの夢を生み出す大切なところ」という祝辞の中で、同学園に小学生の時に在籍し、高校時にブラジルに帰国した現在22歳になる教え子が、ブラジルの大学を卒業して夢であった消防士になったエピソードを紹介した。 同校長は教え子に会うためにブラジルへ先日行き、「卒業生は家族の一員。夢を叶えた子どもたちに会うためなら私はどこにでも駆けつけます」との祝福の言葉を卒業生に送った。卒業証書を受け取った生徒らは、世話になった教職員や保護者と笑顔で喜びを分かち合い、その後、各クラスや個人の生徒によるダンスや楽器演奏が行われた。
一方、午後は東近江市にある準学校法人日本ラチーノ学院の卒業式が行われた。滋賀県内から約170人の子どもらが通う。この日は幼稚部6人、中学部15人、高等部20人の生徒が晴れて卒業の日を迎えた。 カイオ・カミムラ学院長は卒業生らに「卒業後はそれぞれ異なる道が待っているが、どんな道を選んでも、勇気を持って、夢を信じて進んでほしい。どんなに困難な時でも喜びを忘れずに頑張ってほしい」とエールを送った。各学年の卒業証書授与後は、卒業生によるダンスや日本語の歌の合唱が披露され、会場が感動の渦に包まれた。 同学院高等部のルイス・エドゥアルド・マルチンス・ドス・サントスさん(18歳)は卒業生代表挨拶の中で、これまで支えてくれた家族や友人、教職員、支援者に深い感謝の言葉を述べるとともに「私たちは、全くの他人から、想像以上に特別な絆で結ばれた仲間となりました。このクラスが私の人生で最大の思い出として、心の中に刻まれることは間違いありません」と学校生活を振り返った。 両校の幼稚部、中学部の生徒は内部進学する者が多く、高等部の卒業生の多くは日本で就職したり、進学したりする者が多いという。なかには海外留学をしたり、ブラジルの大学に進学したりするケースもある。 両校の卒業式に参列した国際交流グループ「カリーニョ」の青木義道事務局長は、「両校とも教職員や保護者、地域の方々の愛情やあたたかいご支援の感じられた心温まる卒業式だった。卒業生が今後ブラジルと日本とのかけ橋になってくれることを大いに期待している」と声を弾ませていた。