<熊本地震>影響があったニュースは? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
■衆院北海道5区補選
前任の町村信孝氏死去にともなう補欠選挙で、自民党は娘婿を候補に立てました。こうした「弔い合戦」は本来、圧倒的に有利なのですが事前のマスコミ各社による調査で接戦が報じられました。補選の敗北がアリの一穴となって政権が倒れた例は過去にもあります。安倍首相も選挙区に入って応援する予定でした。そのさなかに地震が起き、首相は当初予定していた北海道入りを中止して地震対策へと集中します。 陣営の一部が「首相が来ないと激戦を制するにはマイナスだ」と嘆く一方で、「地震対策で陣頭指揮を取る首相の姿を見せる方が有利だ」とソロバンを弾く人もいます。不謹慎な発想ですが、これまた前例があります。2011年3月11日の東日本大震災発生日に当時の石原慎太郎東京都知事が立候補を表明。選挙運動らしい運動はせず震災後の混乱へ陣頭指揮をとり、4月の都知事選で4選を果たしました。むろん石原氏によこしまな気持ちなどなかったでしょう。とはいえ、結果的に勝利する要因となったのも事実です。
-------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】