道路はおもしろい! 暮らしを支えるインフラの技術や歴史を楽しもう。【川辺謙一の「道路の雑学」Vol.1】
3. 機能がわかる
道路を知ると、その機能がわかります。道路は、人や物が移動するための「通路」であるだけでなく、それ以外のさまざまな役割を担っています。 道路は、わたしたちの暮らしに欠かせない電力・水道・ガス・通信などのライフラインの「通り道」でもあります。近年は都市を中心に電柱の地下化が進んでおり、そのことに気づきにくくなっていますが、道路の地下では多くのライフラインのケーブルやパイプが埋まっています。 また、道路は、防災において重要な役割を果たします。地震などの災害が発生したときには、救急車や物資輸送車両などが走る緊急搬送路になりますし、火災が発生したときは、火が建物から別の建物へと燃え広がる「延焼」を防ぎます。建物が密集する都市で幅が広い道路が必要とされるのは、このためです。
暮らしを支えるインフラで楽しもう
以上の3つの話から、道路を知るメリットを感じていただけたでしょうか? そう、道路は身近な存在でありながら、わたしたちの生活を支える縁の下の力持ちのようなインフラストラクチャー(通称・インフラ)であり、一般にはあまり知られていない歴史や技術が詰まった存在なのです。 この連載では、以上の話を踏まえて、道路を楽しむための雑学を紹介します。道路を起点にして、見る世界が変わる面白さを感じていただけたら幸いです。 交通技術ライター 【川辺謙一】 1970年生まれの元技術者。高度化した技術を一般向けに翻訳。著書多数。道路関係の著書には、『図解 首都高速の科学』(講談社ブルーバックス)や『東京道路奇景』(草思社)、『オリンピックと東京改造』(光文社新書)がある。
文・写真= 川辺謙一