「雪の中のごみ収集」やっぱり苦労の連続だった 体力に高い運転技術、柔軟な対応力も必要
雪が日常的に降る地域では、どれほど雪が降っても通常どおりごみ収集サービスが提供されている。 【写真で見る】こんなに積もった雪の中をごみ収集するのがいかに大変か、想像してみたことはあるだろうか? 以前の記事でも述べたとおり2019年、札幌市で初めて雪の中の収集を体験した筆者は、体力に自信があったにもかかわらず、不慣れな作業環境ということもあり、体力的にも、作業のスピードにもついていけなかった。 結果、作業の進捗が大幅に遅れ、最後は仲間の皆さんにフォローしてもらうという大迷惑をかけてしまった。 それ以降は「二度とご迷惑をかけたくない」という気持ちから作業に入ることは遠慮していたが、前回お世話になった札幌市西清掃事務所の田中有人さんと再会し、「また札幌で収集をしに来てください」とオファーをいただいた。
そこまで言っていただけるなら行くしかない。 2月1日に前回のリベンジに挑ませていただき、助けていただきながら作業をなんとか完遂した。本稿では、雪の中の収集の様子を述べるとともに、過酷な現場でごみ収集に従事している方々の業務への思いについて触れてみたい。 ■除雪作業の前に収集 2月1日、田中さんから「今回は朝早いですよ」と言われていたとおり、まだ暗い6時15分に迎えに来ていただき、西清掃事務所へと向かった。気温は-7℃だ。
今回一緒に作業をするのは大石弘二朗さんと松里啓吾さん(運転手)。西清掃事務所での収集業務を牽引する、ベテランの2人だ。 通常の収集作業は8時30分から始まる。しかし生活道路の除雪が予定されている地区では、除雪の重機が入る8時30分までに行かなければ、収集車の通行が阻まれてしまう。 そのため職員は早出で出勤し、除雪作業の前にごみを収集するのだが、この日、8時前に現場となる西野地区へ到着したときにはすでに複数の重機が除雪を始めていた。
すぐに大石さんは収集車を降りて走っていき、重機の運転手や交通整理を行うガードマンと調整を試みた。それとともに周辺の除雪状況や重機の配置状況の把握に努めた。その情報をもとに松里さんと相談し、効率的な収集ルートを考えていく。 「ごみ収集」といえば肉体作業が連想されるが、今回のように刻々と変化する現状に対して、効率的なルートを考案することも業務の一つ。実はごみ収集という仕事には、頭脳労働的な要素がかなり含まれている。