試されるS&P500種の8兆ドルラリー、企業決算発表が今週本格化へ
(ブルームバーグ): 米株式相場が年初から急上昇しているため、景気への不安や金利の不透明感、選挙を巡る懸念など一連のリスクをトレーダーは意識している。ただ今週は、株価が好調を維持できるかどうかを左右する最も重要な要因として、企業利益が再び脚光を浴びそうだ。
S&P500種株価指数は年初から約20%上昇。時価総額は8兆ドル(約1180兆円)余り拡大した。主に金融緩和への期待と堅調な利益見通しに支えられてきた。
しかし、アナリストの7-9月(第3四半期)業績見通しは下方修正されており、潮目が変わりつつある可能性がある。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、S&P500種構成企業の四半期利益は前年同期比4.7%増加の予想。7月12日時点の予測7.9%増から下がっており、BIのデータでは4四半期ぶりの低い伸びとなる。
トライバリエート・リサーチ創業者のアダム・パーカー氏は「今回は決算シーズンが通常よりも重要になる」と指摘。「企業からの具体的なデータが必要だ」と述べた。
企業が支出を先延ばしにしているか、需要が減速しているか、地政学リスクやマクロの不確実性を要因に顧客の行動が変化しているかどうかに特に注目が集まっていると、パーカー氏は述べた。「まさに世界で多くのことが起こっているからこそ、企業収益とガイダンスがとりわけ重要になる」と続けた。
今週は主要企業の決算発表が始まり、10日はデルタ航空、11日にはJPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴなどが予定されている。
ドイチェ・バンク・セキュリティーズのチーフ米国株・グローバルストラテジストのビンキー・チャダ氏は「決算シーズンは通常、株式にとってプラスの材料だ」と指摘。「しかし相場が力強く上昇しているほか、(今回の決算期にかけて)ポジショニングが平均を上回っていることから、市場の反応は控えめになるだろう」と話した。
F・L・パトナム・インベストメント・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、エレン・ヘイゼン氏は「予想がやや楽観的になり過ぎた後、今はより現実的な水準に引き戻されている」と指摘。「予測が下がっているため、利益が予想を上回るのは間違いなく容易だ」と述べた。