「牧草飼育の良さをアイスで伝えたい」、ワタミファームはなぜアニマルウェルフェアにこだわるのか
■動物福祉にこだわる理由とは
――美幌峠牧場の牛たちは、平均よりも2倍ほど長生きするそうですが、改めてなぜアニマルウェルフェア(動物福祉)にこだわるのでしょうか。 ワタミグループ全体の方針として、地球環境や生物多様性を守り、持続可能な循環型社会づくりを目指しています。2002年に有機農業をスタートし、現在は循環型の6次産業モデルを「ワタミモデル」と名付け、推進しています。 もともと美幌牧場は町営だったのですが、2018年から当社が酪農事業を行うことになりました。 牧場長の「牛たちと健康的に暮らしながら美味しいミルクを作りたい」という熱い思いがあり、広大な敷地を生かし、牛の生態に合わせた飼育をすることになりました。牛たちが狭い牛舎のなかで、常時つながれて過ごしているのは、やはり健康に良いとはいえません。美幌牧場では、1回あたりの搾乳量も抑えています。 牛は草食動物ですから、食事は穀物よりも牧草の方が良いですし、自由に歩いて適度に運動することも大切です。体調には常に気を配り、少しでも具合が悪そうだと、すぐに対応します。牛の健康管理に力を入れることで、病気になりにくくなりました。 体調維持のために、てんさい糖の搾りかすを牛に与えることもあります。牛糞は堆肥になりますし、循環型の酪農を進めています。 ――牛の健康、人間の健康、地球環境の健康に配慮しているということですね。どのように広めていきますか。 「美幌グラスフェッドアイス」は2023年5月に発売し、間もなく1年が経とうとしています。ただ、まだまだ「グラスフェッド」も当社の商品も知らない人は多いだろうと思います。 現在、「美幌グラスフェッドアイス」は、ワタミオーガニックのオンラインショップやワタミグループの外食店舗、楽天市場、大手百貨店の産直ギフトなどで取り扱っていますが、より多くの人に手に取っていただけるように広めていきたいです。2023年12月からは、ピスタチオや有機紅はるかのフレーバーも増えました。 もし味わって頂く機会があるとすれば、その背景に、アニマルウェルフェアの考えや私たちが目指す姿を感じて頂けたら嬉しいです。