「崩して歌ったら失礼」転機となった『宇宙戦艦ヤマト』に今でも畏敬の念
フランスや中東でも人気を集めた「UFOロボ グレンダイザー」
今や日本のアニメやアニソンは、国内だけでなく、海外からも高い評価を受けるようになった。 「当時、日本で放送している作品を海外にも売っていて、自然と海外でもファンの方が生まれたというか。(日本のアニメの主題歌やテーマソングを放送時に独自に)アレンジして流している国もありますけど、ファンの方は原曲も愛してくださいますから、オリジナルの曲を探して聴いてくださったりして。僕が歌っていた『UFOロボ グレンダイザー』とかはフランスや中東でもすごい人気だったらしいですし。その頃は、僕らが海外に行くなんて考えられなかった時代ですけどね。そういう意味で、日本のアニメのパワーというのはすごいですよね」と目を細める。 自身の転機となった『宇宙戦艦ヤマト』については、「昔の歌声を聴いてみると、若さにあふれているというか、ぶつけていくだけという感じで歌っていましたが、今は受け止めながらぶつけるところはぶつける、自分の中では深くなった気がします。“ヤマト”の歌い方は崩さないで、『君が代』を歌っているような気持ちで歌わないと、“ヤマト”に対して失礼だと思うんですよ」と曲への熱い思いを語る。
74歳での新曲に「この歳で新たな希望が持てるのはうれしい」
そんなささきは、今月25日にはデビュー55周年記念シングル『今の向こうの今を』をリリースする。 「作詞を手掛けてくださった畑亜貴さんが僕のファンで、『いつか一緒にお仕事をしたいですね』という中で素晴らしい曲を作って頂いて。“今の先の今”を考えれば、過去のことなど笑い飛ばせるじゃないか。“今”をあまりくよくよとせず、頑張って生きていけば、いつか振り返ってみた時に『そんなことがあったよね』と笑って言えるような、希望を持って生きようという歌です」。 そのうえで、「まあ、この歳で新曲を出させて頂けるなんて、普通では考えられないことですから。周りの方やファンのみなさんの愛情ですよ、同情かもしれないけど(笑) この歳で新たな希望が持てるのはうれしいですよね」と冗談交じりに話す。 世界中を魅了する日本のアニソンの礎を築き、73歳にして現役バリバリの“大王”は日本のアニメの今、そして未来を優しい笑顔を浮かべながら見守っている。