【パリ五輪卓球】激闘、1時間20分。平野美宇、二度のマッチポイントを握るも惜敗
3ゲームを連取されてから開き直った平野。3-3に追いつき、二度のマッチポイントを握った
●女子シングルス準々決勝 申裕斌(韓国) 4、7、5、-7、-8、-9、11 平野美宇 陳夢(中国) 5、3、0、8 ポルカノバ(オーストリア) 平野美宇、ゲームカウント0-3の劣勢から3-3に追いつき、最終ゲームに2度のマッチポイントを握るも……実らず! 初出場のオリンピックのシングルスで、ベスト8に進む活躍を見せたが、進撃はここでストップした。 1ゲーム目から、相手を心理戦に引きずり込むような申裕斌の連続両ハンドに、対応が後手に回った平野。やや動きが硬く、表情にも3回戦までのような充実感が感じられなかった。2ゲーム目は執拗(しつよう)にミドルを攻められ、3ゲーム目は0-3、1-5、3-7、5-10と常に大きくリードを許す展開。まったく勝機をつかめないまま、3ゲームを連取される。 3ゲーム目のゲーム終了後、主審に申し出てウェアを着替えにフロアの外に出た平野。試合後、「このままじゃ後悔するなと思って、一回服を着替えた。今までの自分だったらそこで(心が)折れちゃっていたんですけど、挽回できたことは良かった」と振り返った。4ゲーム目から徐々に本来のリズムが戻り、ピッチの早いハイレベルな両ハンドの応酬。開き直った平野が3ゲームを連取して、3-3に追いつく。 ようやく追いついた最終ゲームも、平野は出足で0-4と離される苦しい展開から、6-6に追いつく。そこから9-9となり、平野がフォア前の台上処理から回り込んでバックストレートを打ち抜き、ついに10-9でマッチポイントを迎える。 10-9、11-10と2回のマッチポイントを握った平野。そこで2本連続でチキータでのレシーブを選択したが、10-9ではネットミス、11-10でもあまり威力が出せず、ラリーから申裕斌に決められた。「最後は意識しないつもりだったんですけど、チキータがあまくなってしまった。そこが足りなかったなって思います」(平野)。 対する申裕斌は12-11で迎えた最初のマッチポイントで決め、決着の瞬間、ふたりは自分の体を支えられなかった。ひとりは最上の歓喜、ひとりは限りない落胆。ベンチに戻して流した涙も、うれし涙で無邪気な笑顔を浮かべる申裕斌に対し、平野は床に座り込んで悔し涙に濡れた。 勝者と敗者のコントラストは残酷だったが、互いに持てる力を出し尽くした大熱戦だった。平野美宇、続く団体戦でメダル獲得だ。 ★平野美宇・試合後のコメント 「このままでは負けられないと思って、1球ずつ頑張ったんですけど、勝てなくて悔しい。(申裕斌のプレーは)いつもよりラリーがゆっくりだったり、サービス・レシーブで優位に立つことができなくて焦ってしまった。それでも修正できてからはかなり良かった。 なかなか出場権を獲得できなかったシングルスなので、最初で最後かもしれないと思っていた。後悔はないですけど、メダルを取るまでには足りなかったので、団体戦に生かすしかないかなと思います」(平野)