81歳ママが作る愛され名物「どてスパ」に別れ 老舗喫茶店が50年の歴史に幕 愛知・名古屋市
「どて煮」といえば“ホルモン”や“牛すじ肉”で作るのが定番ですが、こちらでは“牛すね肉”を使っています。煮込めば煮込むほど柔らかくなるのが特徴なんだとか。大根やコンニャクなどの具材に、唐辛子を丸ごと一本投入! しょうゆなど調味料に赤味噌を加えたら、頃合いを見計らって茹でた牛すね肉を入れ、弱火でコトコト3時間ほど煮込めば完成です!
夫婦が二人三脚で歩み続けた約50年 閉店を決意した理由は…?
ご主人と結婚した58年前。良子さんは、ひょんなことから住宅展示場の喫茶店で働くことに。そこでやりがいを感じ、ご主人の後押しもあって32歳で「喫茶 亀」を開業しました。 ウマくて大盛、しかも安いと評判になり、お店は大盛況。大忙しの良子さんを見かねて、ご主人は仕事を辞めてマスターになり、以来、二人三脚でやって来ました。お店自慢のどて煮は、ご主人の一成(かずなり)さんが他のお店を食べ歩き、試行錯誤して作り上げました。お客さんだけではなく、良子さんにも思い出深い一品です。 どんなに忙しくてもしんどいと思わなかったと、良子さんは当時を振り返ります。
ところが、今年5月末で約50年の歴史に幕を下ろすことになったのです。 店主・柴田良子さん: 「最後まで一緒にやろうねって言ってたんだけどね。本当にそれだけは悔いが残ってしまう」 二人三脚で営んできた喫茶店。4月にご主人を亡くし、さらに建物や調理器具などもかなり老朽化していたことから、良子さんは潮時と考えたのです。
閉店を決意した良子さんは、50年の思いを綴った手書きのメッセージを、店の扉に貼り出しました。
さみしいけど…ありがとう 最終日も後を絶たない常連客
最後の日。午前6時をすぎると、いつも通り良子さんがコーヒーを入れはじめました。そこへ朝一番でやってきたのは、40年来の常連客。すると何かを取り出し、脚立を使って飾りつけを始めます。 壁に飾られたのは「50年間ありがとうございました」というメッセージ。良子さんの労をねぎらう感謝の気持ちです。
開店早々、どうしても「どてスパ」を食べたいと、わざわざ有休を取ってやってきた常連の夫婦が来店しました。モーニングタイムですが、余裕があるときはリクエストに応えるのが良子さんのモットー。最後の「どてスパ」を堪能した後は、ちゃっかり「どて煮」もテイクアウト。